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発言者:縛血者(にんげん)──鹿島杜志郎 対象者:吸血鬼(かいぶつ)──《伯爵》 「この痛みが、胸を掻き毟る後悔が……!」 「僅か一つでも、俺の生涯から欠けていたのならば────」 「戦えなかった。……戦えるわけがない、おまえに」 「全てに、意味があったのだ……!」 自らの内面世界でアイザックと美影と対面し、彼らの言葉をもってようやく自己を肯定し 『生きたい』という執着を持ったトシローの言葉。 現実に翻弄されながら取捨選択を積み重ねた自らの道。 “こんなはずではなかった、あの時こうしていれば”という未だ捨て切れぬ数多の未練と後悔。 《伯爵》の企みに気づいていれば。 美影が洗礼を受けなければ。俺がこの手で守り通していれば。 三本指(トライフィンガー)にならなければ。アイザックが悪鬼に焦がれなければ。 この空間に突入する前に魂を譲り渡してくれなければ。 重すぎる後悔の毒。自身を責め恨み続け、事ある度に飽きもせず、痛みと共に己という存在を呪うことだろう。 俺はそういう(・・・・)人種だ。こう生きて、そう死にたがることしかできない。 きっと、これからもそれは同じで……己が存在は定まらず、葛藤と煩悶に揺れ続けるに違いない。 だが、けれど―――― もしも己が理想を叶えていたとしたら……傷つかぬ望みのままに生きていたなら? 美影と共に穏やかな生を送り、子に恵まれ、士道を遵守して生を閉じる。 縛血者(ブラインド)になることもなく、三本指(トライフィンガー)に堕ちるでもなく、無病息災の生を送っていたなら。 永劫俺を苛み続ける、この茨の道を歩まなければ。 こうして………吸血鬼に立ち向かうことなど決してできなかった。 いや、己の抱える矛盾の宣告に対しても、力強く “否” と吼える事さえ叶わなかった。 望んでいなかったとしても。肯定できないとしても。 在ってよかったなどと、口が裂けても言えなかったとしても。それでも…… 確かに今、この背を押すのは、刻まれた過去の痛苦と無数の苦難であり――― 「俺の生涯は、無為などではなかった……」 「無くし続け、奪われ続けただけのものでは───なかった……!」 ―――確かな意味があった。 その思い、胸が張り裂けそうな救いを抱いて……トシローは、烈しく二刀を振るう。 願いの代償に背いてしまった士道という誇りも。永遠を求めた果てに無明の闇に墜ちた愛も。 苦渋の選択の結果、社会から居場所を、寄る辺を失った“人”の生も。 伴侶を奪われた現実を、怒りと憎悪とで忘れようとした“鬼”の生も。 取り戻せぬとわかっている過去の失敗(りそう)にしか、 意味(死の理由)を見出せなかった“境界からのはぐれ者”としての生も。 傷つけ傷つけられ、悲痛な別れを繰り返す出会いの中でも……こんな他者(じぶん)を信じてくれた、愛してくれた者がいた。 あの日捨てたと思った士道は、確かな正道を希求する想い(・・)としてこの躰に、今も宿っている。 愚かは愚かさだけではない。失敗したとしても命は続いていくのだ、 己が望む望まざるに関わらず………“生きる”ということに果てはない。 そんなことが、判らなかった。 それをようやく、判ることができた。 ああ、《伯爵》よ……おまえには判るまい。 悩み苦しむ俺の心など、間違えてしまう人間の気持ちなど判らないだろう。 現実の息苦しさも、理不尽への恐ろしさも理解することが出来ないだろう。 だから……誇れる。 自分が卑小な人間であることに。 痛みと付き合い続けていくヒトであることを、受け止められるから。 魂(ギフト)を新生させながらも、歓喜でも後悔でもなく、ただ己の一部であると受け止めて(・・・・・)。 縛られた世界(げんじつ)に生きることを認めた存在として。 否定も肯定も葛藤も後悔も。それら自分自身の全て(・・)と向き合うことを覚悟し…… 鹿島杜志郎は全てを振り絞り、同じく真の吸血鬼となった《伯爵》に肉薄していく。 去れよ、失せよ。俺の歩む生に、貴様は要らぬ………! 個人的にlightでは一番好きなバトルシーンだな -- 名無しさん (2016-12-17 07 46 34) おいおい伯爵やばすぎんだろ、これどうやって勝つんだよぉと思っていたから過去の古傷こそが覚醒させるってなったここはうおおおおおおってなったな -- 名無しさん (2016-12-17 08 19 34) 傷があったから覚醒できたトシローと傷がないから覚醒できなかった伯爵の対比は感心した -- 名無しさん (2016-12-17 16 31 01) ↑なおどっかの平穏な日々を暮らす少年は傷があろうとなかろうと必要に応じて覚醒できる模様 -- 名無しさん (2016-12-17 21 56 12) 機械神「さすがは我が同属」 -- 名無しさん (2016-12-17 23 20 08) 声は同じだが明日への想いのみで過去を燃料にくべて覚醒する総統とは対照的やな -- 名無しさん (2016-12-17 23 21 55) 不幸さがアッシュ君とタメはれてるリィン君マジで4のラストバトルではこの台詞の境地に至って大団円になってほしい。 -- 名無しさん (2017-10-05 17 53 26) ??「全てに、意味があったのだ……!故に、無駄にせぬ為に進み続けるのだ!」 -- 名無しさん (2017-10-05 19 49 14) ↑5 リィンの敵はそもそも傷なんか無視する鋼の精神の持ち主だからより強く対比できそうだな -- 名無しさん (2017-10-05 21 56 51) アヤ「この痛みが、胸を掻き毟る後悔が......」ミステル「僅か一つでも、私達の生涯から欠けていたのならば――」ナギサ「皆に出会えなかった。……再開出来るわけがないんだ」ナギサ アヤ ミステル「私達の生涯は、無為なんかじゃなかった……!」アッシュ「無くし続け、奪われ続けただけのものじゃ――なかったんだ!」あの日の皆「全てに、意味があったんだ(のです)(のよ)……!」 -- 名無しさん (2018-01-11 22 17 36) ↑4 リィン君ってなんて作品のなんてキャラ? -- 名無しさん (2018-05-10 17 15 12) リィンは多分「閃の軌跡」の主人公 -- 名無しさん (2018-05-10 17 35 29) ↑6 寧ろ旧VII組この境地を加えた「これが、我らの英雄伝説」してたな。 -- 名無しさん (2018-09-30 08 34 53) ミトラ「全てに、意味があったのだ……!」 -- 名無しさん (2018-10-15 22 50 24) ミトラ「私のハーレムを生み出すために必要だったのだ!」 -- 名無しさん (2018-10-15 22 54 11) ↑2↑1死ねよミトラ!塵屑だろうが! -- 名無しさん (2018-10-15 23 23 06) ↑3アイザック「てめえみたいな糞女が俺の憧れの男の言葉をパクってんじゃねぇ!!!」 -- 名無しさん (2018-10-15 23 37 31) 水銀「全てに、意味があったのだ……!」 -- 名無しさん (2018-11-30 21 02 45) ↑お前が言うな!!!!!! -- 名無しさん (2018-11-30 21 28 33) 名前 コメント
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もしもふたり逢えたことに意味があるなら ◆xmpao6V6sI 「おおう、扉が勝手に開いた! 自動ドアとは人間界も進歩したものだのう!」 「はあ……」 エリアBー10、博物館。 その入り口付近で騒いでいる、二人組がいた。 稼働する自動ドアを見て驚きの声を上げているのは、道士・太公望。 そして、その横にいるのは借金執事――もとい、今はただの借金野郎・綾崎ハヤテである。 太公望に向ける視線が、若干どころではなく冷めているように見えるのは、おそらく気のせいでは無いだろう。 太公望が、申公豹の知り合いであること。 太公望が、自分にとっての過去の人間であること。 太公望が、仙界――崑崙山脈に属する、道士であること。 それらについては道中、太公望の口から説明を受けたものの――そのすべてを、ハヤテは信じたわけではなかった。 半信半疑どころではない。 疑が九割九分を占めている。 (というか、そんな話をいきなり信じろって言う方が無茶なんだよな……漫画じゃあるまいし) 現代日本に住む高校生としては、極々普通の反応である。 しかし、話を信じたわけではないとは言っても、武器まで受け取ってしまった手前別れるわけにもいかず。 とりあえず害意は無さそうなので、博物館までの同行を受け入れたのだが。 (やっぱり、別れた方がよかったかなあ……) 自動ドアを見てはしゃぐ自称仙人の姿に、ハヤテは不安を募らせる。 と、そんなハヤテの心を見透かしたかのように、一転して落ち着いた様子で、太公望は言う。 「信じられぬか? わしが――おぬしにとっての過去の時代の人間だということを?」 「い、いえ、別に……」 見事に図星をつかれ、言い淀む。 そんなハヤテの様子を見て、実に愉快そうに笑う太公望。 「別に構わんよ――奇異の視線を向けられることなら、馴れておる」 それにしても随分と大きな建物じゃのう、とそんな言葉を続けて。 何も言えずに立ち尽くすハヤテを残して、ほいほいと太公望は館内に足を進めていく。 (……まあ、とりあえず当分はついていこうかな) 数瞬だけ考えて――ハヤテは、結局その後を追った。 ◆ 「ふむ……どうしたもんかのう」 十五分後。 とある展示室の長椅子に腰掛けて、考えを巡らせる太公望。 その近くに、ハヤテの姿はない。 「建物が大きいから、別れて探索すると決めたまではよかったが……」 入り口付近を見る限り、自分達より先に誰かが侵入した形跡はない。 鍛えているし、武器もあるから心配はいらないというハヤテの弁を信じて、太公望は別行動を選択したのだが。 「……すっかり迷ってしまったようじゃ」 博物館のあまりの入り組みように、完全に現在位置がわからなくなっていた。 「困ったのう……せめて地図でもあれば話は別なんじゃが」 デイバッグに入っていた地図には、無論こんな細かい所まで表記されてはいないし。 館内の案内板を見ようにも、そもそも案内板の場所がわからない。 他に客がいれば客の流れにそって進めば出られるのだろうが、太公望とハヤテしかいない今、その方法は取りようがない。 「だいたい、展示物に規則性が無いから迷うんじゃ……」 そう呟くと、太公望は展示室を見回す。 そこには奇妙なオブジェが、所狭しと並んでいた。 「帆船模型ゴーイング・メリー号…29期生卒業制作マーライオンホース…新型介護ロボット『8』…巨大鹿ナダレの剥製…少しは統一せいっちゅーに。 そうは思わんか、スープー?」 言ってから、この場に四不象がいないことに気付き、溜め息をつく。 「むむむ……あんなやつでもおらんと調子が狂うのう」 そういえばスープーは無事かのう、と今更ながらに太公望は考え始める。 自分があの場所に連れてこられてくる前、スープーは自分のそばにいた。 どうやってかは知らないが、自分が連れてこられた以上、スープーが無事である保証はないのだ。 「……いや、それはスープーに限った話ではないか」 ナタク、ヨウゼン、武吉に天祥。 こうして自分が拉致されている以上、彼らもまた、この場に来ている可能性はある。 「まあ、その時はわしが働かずに済むからオールオッケーじゃがのう!」 そう言って、太公望はニョホホと笑う。 ニョホホと笑って――ふと真剣な顔に戻り、呟く。 「申公豹よ……わしのような道士や、ハヤテのような未来の人間を集めて、何を考えておる?」 ここにいない首謀者の一人に、尋ねるように。 「おぬしが享楽でこのようなことをする奴では無いのは理解しておる……おぬし、何を企んでおるのだ?」 しかし、その問に答えが返ってくることは無く。 部屋には太公望と、静寂のみが残された―― ◆ 一方、太公望のいるのとは別の展示室。 その部屋に展示されていたものを見て――綾崎ハヤテは絶句した。 そこにあったのは、豪華な装飾で周囲を彩られた、巨大な水鏡。 それは、ハヤテにとってはただの豪華な水鏡というだけではなかった。 「なんで……なんでこれがこんな場所に!?」 手に持った荷物を投げ捨てて水鏡に駆け寄り、 そこにあるものが自分の知るそれと同一のものであることを認識して。 ハヤテは困惑し、ただ水鏡の名を叫ぶ。 「――天球の鏡!」 天球の鏡。 王族の庭城を訪れた幼き日のハヤテに、天王洲アテネが見せた、 使用者の知る人間の姿をその水面に映す、魔法の鏡。 この世の全てを見下ろす、神の瞳。 本来、このような場所にあるはずの無いものだった。 このような場所にあってはならないものだった。 しかしハヤテはそれがここにあるという事実の意味を考えるよりも早く―― 「本当に天球の鏡なら――アテネを、アーたんを、映して!」 天王洲アテネの姿を――探し求めてきた彼女の姿を、鏡に求めた。 自分の失敗から、永遠に別れることとなってしまった彼女の姿を。 何度もう一度会いたいと、謝りたいと願ったかもわからない、彼女の姿を。 しかし――鏡は一向に、ハヤテ以外の誰の姿も映そうとはしない。 やがて、ハヤテの瞳が壁に貼られた説明書きのパネルを認識する。 「天球の鏡……自分の知る人の姿をその水面に映す、魔法の鏡……。見れるのは姿のみで、声は聞けない……」 震える声で、ハヤテはそこに書かれた文字を読み進めていく。 「……ただし、これは複製ですのであしからず……。そんな……」 ようやく見つけた、アーたんの手掛りだったのに。と、ハヤテの膝が、冷たい床に触れる。 探し続けてきた青い鳥は、また、自分の手の中から飛び去ってしまったのかもしれない。 自分はこれから先、青い鳥の居場所もわからないままに、ここで殺されてしまうのかもしれない。 そんな絶望感に支配されかけて――ハヤテは思い出す。 『そんな運命、ぶっ壊してやる!』 ほんの数十分前に、自らが立てた誓いを。 絶対にこんな殺し合いなんかで死ぬものかと、運命と闘おうと決意した宣言を。 「そうだ……こんなところで絶望してるようじゃ、運命なんて壊せない。 天球の鏡だって……元はと言えば、アーたんの手掛りなんてゼロだったんだ。でも、今は違う!」 ハヤテの瞳に光が戻る。 「あいつらなら――この博物館を用意した、天球の鏡を知っているあいつらなら、アーたんについて何か知ってるはずだ! それなら僕は――」 「あいつらを倒して、アーたんのことを聞き出してやる!」 (だって僕は――アーたんの、天王洲アテネの執事だから!) 少年は、決意を新たにする。 必ず己に課せられた運命を打開するという、決意を。 今再び少年は――執事へと戻った。 ――執事 それは仕える者。 ――執事 それはかしずく者。 ――執事 それは主の生活すべてをサポートするフォーマルな守護者。 ――そう、これは一人の少女のため、命をかけて闘う少年の、超コンバットバトルロワイアルストーリーなのである。 Hayate the combat butler START! 【B-8/博物館/1日目 深夜】 【太公望@封神演義】 [状態]:健康 [装備]:太極符印@封神演義 [道具]:支給品一式、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×1@トライガン・マキシマム [思考] 基本:殺し合いを潰し、申公豹を倒す。 1:ハヤテと博物館を探索する。 2:申公豹の目的は……? [備考] ※殷王朝滅亡後からの参戦です。 ※手配書は渡されただけで詳しく読んでいません。 ※ハヤテと情報交換をしました。 【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】 [状態]:健康 [服装]:トレーナーとジーンズ(第1話終了時の服装です) [装備]:銀時の木刀@銀魂 [道具]:支給品一式、若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム [思考] 基本:運命と戦う、主催を倒す 1:太公望と博物館を探索する 2:西沢さんを含めた友人達が心配 3:出来ればヴァッシュを捕まえて賞金を手に入れたい 4:少年(火澄)の言っていた『歩』は西沢さんなのか、東城歩って人のことなのか、それとも他の歩という名前の人なのか……? 5:金髪でツインテールの少女(ナギ)が心配 [備考] ※第1話直後からの参戦、つまりまだナギの執事となる前です。 ※参戦時期からわかる通り、西沢・ナギ以外のハヤテキャラとの面識はありません。また、ナギも誘拐しようとした少女としか認識していません。 ※太公望と情報交換をしました。また、その際に封神演義の世界についておおまかなことを聞きました。ただし、そのことについては半信半疑です。 ※博物館の展示品から、主催が天王洲アテネについて何か知っていると考えています。 ※博物館には、各作品出展の物品が展示されているようです 時系列順で読む Back 扉を開いたらまた次の扉 Next 出会って別れて 投下順で読む Back 扉を開いたらまた次の扉 Next そばにいる たとえどんなに哀しい夢だとしても 034 序章の始まり 綾崎ハヤテ 044 地獄とは神の在らざることなり(前編) 034 序章の始まり 太公望 044 地獄とは神の在らざることなり(前編)
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仙谷官房長官「暴力装置でもある自衛隊」に菅首相「『やや』問題」 野党から批判相次ぐ 2010/11/18 FNNニュース 閣僚の失言が相次ぐ菅政権。18日は仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」との発言で国会が紛糾した。一方、柳田法相はさらに追い詰められている。 政権をむしばむ閣僚たちの問題発言。 18日は、仙谷官房長官から衝撃の言葉が飛び出た。 仙谷官房長官は、自衛隊の行事に政治的発言をする人を呼ばないよう、防衛省が通達を出していた問題の答弁で、自衛隊を「暴力装置」と表現した。 仙谷官房長官が「暴力装置でもある自衛隊」と述べた直後、委員会室は騒然となった。 この事態を招いた本人は、「撤回して実力組織と言い換えます」と、自衛隊は暴力装置発言は撤回し、謝罪した。 しかし、野党からは批判が相次いだ。 自民党の小泉進次郎議員は「自衛隊は暴力組織ではなく、日本の平和を守るためのもの。本当にひどい発言だなと思う」と述べた。 みんなの党の渡辺代表は「昔の左翼時代のDNAが、図らずも明らかになった。たがが緩んで失言が頻発しますね。政権末期症状だと思います」と述べた。 自衛隊でイラクの復興支援に携わった自民党の佐藤正久議員は「血管が切れそうになりましたよ。わたしも暴力装置出身の議員、暴力装置議員となる。全国の自衛隊員は、ふざけるなという思いでいっぱいだと思う」と述べた。 「暴力装置」発言直後の定例会見で、仙谷官房長官は「私は丁寧に法律論なら法律論、政治論なら政治論を説明しているつもりです」と述べた。 午後になって、この問題はさらに紛糾した。 参院予算委で、真っ赤なスーツの自民党の丸川珠代議員は、菅首相を「自衛隊の最高指揮権を有する最高責任者として、この発言をどう思いますか?」と追及。 菅首相は「最初の表現は、『やや』問題があったと。言葉というのは、いろいろな感じた方があると思います。ご本人が謝罪し、訂正して変えられたわけでありますから」と述べた。 しかし、丸川議員は「暴力装置という言葉は、われわれの平和憲法を否定するものですよ。ただ形だけ謝っただけで、本当に隊員の士気が維持できると思いますか? 命を懸けて国を守っている人たちに、これで納得してもらえると思っているんですか? 最高指揮官として」とさらに追及した。 これに対し、菅首相は「ご本人を招いて注意をいたします。私からもおわびを申し上げたいと思います」と謝罪した。 丸川議員はさらに、18日に最終日を迎えた民主党政権の目玉「事業仕分け」の矛盾について、蓮舫行政刷新担当相を追及した。 丸川議員は「蓮舫大臣、どうして閣議決定や政府の方針と反するものを再仕分けの対象、仕分けの対象に選ばれたのか」と追及した。 蓮舫行政刷新担当相は「政府の方針を、事業仕分けにおいて、今まで一度も否定したことはございません。どの政権においても、無駄はあってはならない」と答弁したが、「質問に答えろ!」とやじが飛んだ。 大臣への攻撃が相次ぐ中、「真摯(しんし)に」という言葉を繰り返し、謝罪に徹した柳田法相について自民党の世耕弘成議員は「柳田大臣は最近、3つ目の新しいマジックワードをお使いになったんですね。『真摯に答弁する』」と追及した。 この柳田法相について、菅首相は「罷免すべきというふうには思っていません」と述べている。 しかし、この事態に、ついに民主党内から「柳田さんはもたないんじゃないか」、「問責出る前に辞めるんじゃないかな」などという声が出た。 自民党は、柳田法相が辞任しない場合、参議院で問責決議案などを提出する構え。 もし問責決議案が提出された場合、公明党、社民党、共産党、みんなの党が賛成の意向を示している。 5つの党が賛成となると、過半数となって問責決議案が可決する公算が高まっている。 これまで問責決議案が可決された例は、1998年の額賀防衛庁長官、2008年の福田首相、2009年の麻生首相の例があるが、額賀氏の場合は、1カ月後に辞任した。
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『言葉の意味が知りたくて』 午前11時。 学校の宿題も無事に終えた私は、ちょっと優雅なお茶の時間を楽しもうとしていた。 テーブルの上にはアールグレイの紅茶と、かなり高級なチョコレート。 ティーカップから香るベルモットの匂いに思わず顔を綻ばせる。 「音楽でもかけよう。」 CDの山からゴソゴソと適当なものを見繕っていく。 「これがいいかな。」 選んだ曲はクラシックだった。どうしてこんなものが私の部屋にあるのか皆目検討もつかないのだけど、こんな日には丁度いい。 私はケースからCDを取り出すとプレイヤーにセットした。つかさが隣で寝てるから音量はしぼって音楽を再生させる。 ベートーヴェン作、交響曲第6番「田園」。その優雅な音が部屋一面の広がった。少々音が激しい気がするが、ムード作りには十分だ。 「本…」 読みかけていたラノベに手を伸ばす。 音楽、お茶、お茶菓子、本。すべてが完璧だった。 「微妙に贅沢ね。」 さて、そろそろ紅茶も冷めてしまう頃だ。 私はティーカップを手に取り、その香りと味を楽しもうとした……ちょうどその時である。 そんな優雅な気分をぶち壊すかのように、ドタドタドタと階段を駆け上がる音が聞こえた。 そしてその音は真っ直ぐに私の部屋の方へと向かっている。騒音の主が誰なのか、そんなことは分かりきっていた。 私は軽くため息を吐くと、ティーカップをテーブルに置き音楽を止めた。そして来るべき幸せに備える。 「かっがみ~~!!」 部屋の前で音が一瞬途切れたかと思うと、蒼髪の女の子が勢いよくドアを開けて入ってきた。 もちろんその女の子は私の恋人、泉こなただ。 「おお、いらっしゃい。」 「あれ、かがみ。もしかしてお茶の時間だったりした?」 こなたはそう言いながらハンガーに自分の上着をかけた。まったく、慣れた手つきである。 まあ、慣れているのも無理は無い。なにしろこなたは、毎週のごとく家に遊びに来ては泊まっていっているのだから。 お父さんやお母さんなんかは『娘がもう一人増えたみたい』などと言っている始末。 お父さん、お母さん。そうやってさっさと慣れてしまってね。近い将来『みたい』がなくなるから。 「ええ、そうよ。これからのんびり優雅なひと時を過ごそうとしていたところよ。」 「かがみんの優雅なひと時ねぇ…」 私の前に腰を下ろしたこなたがテーブルを見渡した。そして机の前のラノベを見つけるとにやりと笑った。 「かがみんの優雅なひと時にはラノベは必須アイテムですか、そうですか。」 「う、うるさいな!別にいいだろ!!」 「まっ、別にいいけどね。それにしてもラノベとはね~~」 「ああ、もういいわよ!」 いつも通りの言い合いを私達は繰り返す。恋人同士になった今でもこれだけは変わる事はない。 そしてこれからもきっと変わる事はないだろう。なにしろ変える気もないのだから、変わるはずも無い。 「ところで、つかさは?下にはいなかったんだけど。」 「つかさなら自分の部屋で熟睡中よ。あれはもう、午後にならないと起きてこないわね。」 いやまったく、つかさの睡眠欲はすさまじい。この前なんか夕飯前起きてきて『おはよう、お姉ちゃん』なんていうものだから、本当に呆れた。 「それで、今日は何しに来たのよ?」 私に会いに来てくれるのに理由なんて要らないけれど、一応理由を聞いておく。社交辞令、話題のネタ振りというやつだ。 「うん。今日はね、かがみに聞きたいことがあって来たんだよ。」 「聞きたいこと?宿題だったら自分でやらないと駄目だからね。」 「違うよ!確かに宿題も見せてもらうつもりだったけどさ……」 こなたはモジモジとしながら、私から視線を逸らした。もしかして何か聞きにくいことなのだろうか? 「あのさあ、こなた。私達の間柄で、今更恥ずかしがることなんか何もないと思うんだけど?」 本心だった。確かにこなたにだって隠したい事はあるだろう。でも、それでもやっぱり可能な限り私には話して欲しかった。相談して欲しかった。 「でも……笑ったりしないでね?」 「しない。」 こなたがここまで言うとは予想外だ。これは気を引き締めないと。 「……それじゃあ言うよ。あのね、かがみ?」 「うん。」 あたり一面に緊張が高まった。 「甘いって……どんな感じ?」 緊張があっという間に解けていった。代わりにさむーい空気が流れ込む。 「こなた。」 「なに?」 「そこにチョコレートがあるから、それを食べてみて。」 私はテーブルの上のチョコレートを指差した。こなたは言われるがままにそれを手に取ると、そのまま口の中に放り込んだ。 「どんな感じ?」 「……甘くておいしい。」 「それが甘いよ。分かった?」 飛びきりの笑顔で答えてやった。 「はい、これでこの問題は解決ね。」 まったく、まさかこなたが味覚オンチだったとは思いもよらなかったわ。 私は軽く驚きつつ、紅茶を啜った。紅茶はすっかり冷め切っていた。 「なるほどね~…って違うよ!そういう『甘い』じゃないよ!」 「じゃあ、どういう『甘い』なのよ?!」 「私が言ってるのは、『甘い生活』とか『甘い時間』とかについてくる『甘い』だよ!味なんて関係ないよ!」 こなたの言葉を反芻する。 「……ああ、なるほどね~!私はてっきりこなたが味覚オンチになったのかと思ったわ。」 「ひどっ!私が味覚オンチになんてなってるはずないじゃん!かがみと違ってちゃんと家事とかもするし、料理の時は味見だってするもん!」 また一つ、こなたはチョコレートを口に運んだ。結構気に入ったのかな?そのチョコレート。 「ごめん。私が悪かったって。で、なんで急にそんなこと疑問に思ったわけ?」 「うん、この前ネットでギャルゲーのレビューを見てたんだけど。」 また一つ、また一つとチョコレートを食べるこなた。気が付くと、一ダースの内半分を食べきっていた。私まだ食べてないのに…… 「それはまた、女子高生にあるまじき事をしてるな。ところでこなた?」 「なに?」 「あんたがヒョイヒョイ食べてるチョコレート。1個200円はするんだから、もっと味わって食べなさい。」 もう一つとチョコレートに手を伸ばそうとしていた手が止まった。 「うわっ!これ1個200円もするの!どうしてかがみがそんなチョコレート食べてるのさ!こういうのはみゆきさんが食べるものだよ!」 「さりげなくひどいこというな、あんたも。もらい物よ、もらい物。」 私はそう言うと、ようやく今回一個めのチョコレートを口に含んだ。カカオのほのかな苦味と濃厚な甘みが口全体に広がった。 …が、どうしてもその味に200円分の価値を見出せないのは、庶民ゆえの事だろうか? 「1個200円。私が食べた分だけで1200円か。同人誌が2冊買えるなぁ。」 「同人誌換算かよ。それで、話の続きは?」 こなたは釈然としない顔をしつつも、再び話し始めた。 「それでね、そこでの内容にやたら『甘い』って言葉が出てくるんだよ。『この二人の甘い生活が…』とか『甘い、とにかく甘いです』みたいに。」 「とんでもないレビューもあったものね。後のやつなんてレビューになってないじゃない。」 「いやいや、ギャルゲーのレビューなんだからそれはそれでいいんだけど。で、思ったんだよ。『甘い』ってどんな感じのことなんだろうって。」 「ふ~ん。それで私に聞いてみようと思ったわけ?」 「うん。自分でも考えてみたんだけど、どうもピンとこないんだよね。」 「ふむ……」 この場合、『甘い』という言葉に対して『行為』を説明するのは簡単だ。例えば、『恋人同士が手を繋いで歩くのが甘い』などということを言ってやればいい。 ただ、今回こなたが望んでいる答えは『行為』ではなく『感覚』なのだから、先の説明では当てはまらない。 となると、結構難しい問題ね、これは…… 「ごめん、私もよく分からないわ。」 こなたの言うとおり、確かにピンとこなかった。 「だよね~~。……というわけで、今日のお題は『甘い』だよ。」 「は?ごめん、全然ついていけてないんだけど?」 「だ・か・ら!今日は『甘い』って言われている事を全部やってみようってことだよ!」 「はぁ~~?!」 つい、声が大きくなった。いや、でも無理もないわよね。なにしろ『甘い』ことを全部やろうなんで嬉しい……いやいや、馬鹿なことを言っているのだから、声だって大きくなってしまう。ええ、なってしまいますとも! 「女は度胸!何事も実践あるのみなのだよ、かがみん!!」 「いや、でも……ねえ?」 「かがみは……私とそういうことするの、嫌かな?」 「うっ!」 「かがみが嫌なら諦めるけど。」 こなたにそう言われると滅法弱い。おまけに弱気な声&上目使いのコンボつきだ。これでこなたのお願いを聞かないやつなんてこの世界に存在するのだろうか。少なくとも私だったら二つ返事で聞いちゃうわ。 だから…… 「べ、別に嫌じゃないわよ。いいわ、付き合うわよ。」 という風に二つ返事で答えてしまう私は全然おかしくはないのだ。 というわけで、こいつがそれで満足するというなら付き合ってあげるとしよう。 それにこいつが考えてる『甘い』がどんなのか、ちょっと気になるしね。 「ふっふっふっ、かがみんそう言うと思ってたよ。」 猫口でニヤニヤと笑いながら、こなたは言った。 くっ!やはり見透かされていたか。悔しいが、事実なので我慢する事にする。 「とは言うものの、一体何すればいいのよ?『甘い』って言ったって、色々あるでしょ?」 「う~ん、そうだね。それじゃあ、まずは……」 こなたは軽く息を吸うと、私をジッと見つめた。 「抱きしめて。」 「は?!」 こなたさん、いまなんと仰りましたか?! 「抱きしめてって言ってるの!ほら、早くしてよかがみ!」 こなたが顔を真っ赤にしながら、さっきより大きな声で言った。そしてそんなこなたの姿はとても可愛らしかった。 「……分かったわよ。」 これ以上大きな声を出されて(いや、さっき私も出してたけど)、つかさに起きられでもしたら面倒だ。 私はこなたの隣に座りなおした。そしてそのまま思いっきり抱き寄せる。 こなたの温もりが体全体に広がった。 「これでいい?」 「だめ。もっとギュッってして。」 「……はいはい。」 言われるがままに、私はこなたを抱きしめる力を強くした。こなたもそれに合わせて腕を私の腰にまわしてくる。互いが互いを抱き寄せる形になった。 「頭撫でて。」 こなたの頭をゆっくりと撫でる。一撫でするごとに、香る甘い匂いが私の鼻腔をくすぐった。 今更ながらに気が付いたのだけど、言われたままにするのって結構気恥ずかしいわ。 「どう?どんな感じ?」 「すごく嬉しい……」 こなたが私の胸に顔をうずめた。 「そう。私もよ。」 「でも…」 私の胸に埋もれていたこなたが私を見上げた。 「この感じが『甘い』なのかな?『甘い』っていうのは嬉しいって事なの?」 「……」 言葉に詰まった。大体、私自身もよく分かっていないのだ。そうだ、などと言える筈が無い。 「そんなの知らないわよ。」 「そっか。それじゃあ次~」 どうやら次もあるらしい。まあ甘い事を全部してみるって言ってるんだから、当然かもしれないけど 「次って、なにするのよ?」 「キス…して?」 そう言ってこなたは恥ずかしげに私から視線を逸らした。 「なっ…キス?!」 「いいじゃん、別に!初めてってわけでもないでしょ!」 「それは確かにそうだけど……」 「ほら、早く!」 こなたは目を閉じると、ゆっくりと唇を突き出した。 さて、そうなると困るのは私だ。 最初に誤解の無いように言っておくが、私は別にこなたとキスをするのが嫌いなわけじゃない。むしろしたい。 だけれども、こんな状況で言われるがままにするのは、なんと言うか気が乗らないというか、ムードにかけるというか…… とは言うものの、この状況。こなたは目を閉じながら待ってるし、なにより腕を回されてるから逃げられない。 しなきゃいけないんだろうなぁ……キス。 私は軽くうなだれると、ゆっくりと唇を近づけた。 こなたの唇が私の唇と触れあう。こなたの息が顔にかかる。 互いの唇を触れ合わせるだけのキス。もう何回もこんなことしてるのに、なんでこんなにもドキドキするのだろう? こんなにも幸せな気分になれるのだろう? あんなに躊躇していたキスだけど、やっぱりそんな気持ちになってしまう。 このままずっと続いてくれればいい。キスをしてる間、ずっとそう思った。 ……いつまでそうしていたのだろうか? どちらともなく、私達は顔をはなしていった。こなたの唇が離れたので、ぺろりと自分の唇をなめてみる。 二人ともチョコレートを食べていたからだろう。チョコレートのように甘かった。 そしてキスをする前とは逆にゆっくり目を開けると、こなたの顔が大きく写っていた。 「どうだった?」 「さっきよりもっと嬉しくて、すごく幸せだった…」 こなたが心底うれしそうに笑いながら言った。 「そっか。」 「かがみは?」 「……聞くな。」 私もこなたと同じように、笑顔で答えた。 「で、分かったの?」 「なにが?」 私の質問にこなたがキョトンとした顔で答えた。 「お前なぁ!あんたが『甘い』っていう感覚が知りたいって言ったから、こういうことしたんだろ?!」 「ああ、そうだったね。」 「そうだったね、っておい!」 「うーんとね、やっぱよく分からないや。今度は幸せなのが甘いってことのかな?」 こなたはジッと私を見つめた。答えを求めているのだろう。だけどお生憎様。私も分からないんだから、答えようが無いわ。 「だから知らないって。自分で勝手に考えなさいよ。」 「ふーんだ。いいもん、自分で考えるもん。というわけでかがみ、この問題を解決する為に、次へ進もうよ!」 「……まだ続くの?」 いや、ホント今日は幸せいっぱいだからもう十分なんだけどな。これ以上はなんだかバチが当たりそうだ。 「当然だよ!なにしろ、今日は『甘い』って言われている事を全部やってみるんだからね!これくらいじゃ終わらないよ!」 やけにハイテンションのこなたに対して、幸せ疲れでローテンションな私がいたりする。 「じゃあ、今度はなにすればいいのよ?」 「うーんとね……」 こなたは考える素振りをしたかと思うと、すぐに何か企んだ表情になった。だけど、その表情にはどこか恥じらいがあるように私には見えた。 恥らうこなた……うん、それはとても素晴らしいわ! 「それじゃあ……」 そんな私を尻目に、こなたはスッと顔を私の耳元に動かした。そして耳元で小さく小さく呟いた。 「………して?」 「はい?!」 なんだかトンデモナイ事を聞いたような気がする。けど、それはきっと私の気のせいだ。うん、そうに違いない。よし、もう一度こなたに聞いてみよう。 「ごめん、こなた。よく聞こえなかった。もう一度言ってくれない?」 「……お願いだから、そういう事二度も言わせないで。」 ああ、やっぱり… そういう事って……ソウイウコトですか、こなたさん?!! 「なっ!ななななななななななななっ!!!!!!!」 分かってしまった言葉の意味に思わず声が震えた。もちろんそれだけで済むはずがなく、声だけじゃなくて体全体が震えるし、顔もとにかく熱い。 ただひたすらに喉が渇くし、鼓動も段々と早くなっている。 「あっあああんた、自分で何言ってるか分かってんの?!」 「だってそういう事って、『甘い』の代名詞みたいなもんじゃん。じゃあやらないと。」 「いや、だからって……」 なんでそんなことをサラリということが出来るのか。ああ、時々本当にこいつの考えが分からなくなる。 「それに、いつかはするつもりだったんでしょ?それが今日になっただけじゃん。」 だけじゃんで済ませられるわけが無かった。少なくとも、私にはできない。 「私は……覚悟出来てるから。」 こなたはそれだけ言うと、私を抱きしめることもすっかり止めて、体全体でよりかかってきた。 こなたの軽い…だけど確かな重みが、私の胸に圧し掛かかる。 「おっ、おい!」 こなたの両肩を私は両手で支えた。こなたは何も言わずにジッと私を見つめていた。抵抗もしない。なすがままといった感じだ。 きっと、ベットに連れて行こうと言えば、そのまま着いてくるだろうし、押し倒そうとすれば、押し倒れるだろう。 『全部かがみが決めていいから。』……そう言っているように私は感じた。 「こなた……私……」 私はゴクッと唾を飲み込んだ。そして意を決して、ゆっくりとこなたを押し倒す。 床一面に、蒼色が広がった。 「………」 「………」 私は上から、こなたは下から互いに見つめ合った。 鼓動はゆっくりになることはない。体はさっきから震えっぱなし。顔は水蒸気でも出てるんじゃないかってくらい熱い。 それでも、私とこなたは見つめ合った。 「こなた……」 「かがみ……」 そして私は…… 私は…… …… 「ごめん、やっぱ無理……」 ソウイウコトなんて出来ませんでした、まる。 「……やっぱり、私の思ったとおりの展開になったね。」 こなたは『よっ!』と言って立ち上がると、私の前に座りなおした。 「うう、ごめん……」 「まっ、こればっかりはこうなるって分かってたからね、別に構わないよ。かがみ、ヘタレだし。」 こなたが慰めるように私の頭をポンポンと叩いた。 「ヘタレっていうな。」 「あのシーンでそういう事が出来ない者、人それをヘタレという!」 「……」 ぐうの音もでなかった。いや、まったくその通りだ。 せっかくこなたが勇気を出してくれたというのに。 余りの情けなさに思わずため息が出てしまう。 「まっ、私はそんなかがみが好きだから、気にしなくていいよ。」 「もし私がちゃんとそういう事が出来たら、どうするつもりだったのよ?」 せめてもの反撃にこんなことを聞いてみる。 「それはそれ、これはこれだよ。まっ、そんなことは絶対無理だよね、かがみん!」 こなたが猫口でニマニマと笑った。ああ、言い返せない自分が憎い! 「う~ん、けどこのままじゃ、『甘い』の感覚は分からずじまいだね。」 「ああ、そう…」 さっきの一件で、なんだかものすごくどうでもよくなった。もう勝手にすれば? 「それじゃあ、午後の部なんだけど……」 「はぁ?!午後の部なんてあるの?!」 「あるに決まってるじゃん!お昼食べたらデートだよ!!」 デート…デートかぁ…デートなんて久しぶりだな。 私も現金なものだ。デートという言葉で、すっかり先ほどの気持ちが吹き飛んだ。 「お昼食べてからっていうと、こなた一旦帰るの?それとも、二人でどこかに食べに行く?」 「いやいや、もうすでにお義母様からお昼を誘われているのだよ。」 「お義母様って?」 「かがみのお母さんだよ。だからお義母様。」 こなたが胸を張りながら答えた。胸を張るような事か?などと思ったけれど、言わないでおく。 「というわけで下にお昼を食べにいこう、かがみん!もう12時だし!」 こなたは私の手を取ると、そのまま部屋から連れ出した。 ――――― 「というわけで、アキバに来たよ!!」 「またここか……」 こなたがデートなんていうものだから、どこに連れて行ってくれるのかななんてすごく期待してたのに……ものすごく残念な気分だ。 「私が決めるデートの場所なんて、ここ以外にはありえないのだよ!」 「そうですか……」 「むー!そんな顔しないでよ、かがみん。それだったらさ、今度はかがみが私をデートに誘ってよ。それだったら、かがみの好きなところにいけるじゃん。」 どうやらよほど残念そうな顔をしていたらしい。こなたが膨れた顔で言った。 「そうね、そうするわ。それに……場所が場所でもデートには違いないものね。」 「そうだよ。楽しまなきゃ損だって!」 私が笑いながら答えると、こなたも笑いながら答えてくれた。 「それで今日はどうするの?いつも通りゲマスとか?」 「うん!けど、ゲマズは最後かな。その前にゲームを見たり、同人誌を買ったりするのだよ!あとゲーセンにも行こう!」 「はいはい。要するにいつも通りって事ね。それじゃあ、さっさと行きましょう。」 「ちょっとかがみんや!」 こなたの先を歩こうとすると、いきなりこなたに服をつかまれた。 「な、なによ?」 「かがみん、今日のお題を忘れてない?」 「甘いだっけ?」 「そうだよ!それなのに、なんで一人でスタスタと歩いて行っちゃうのさ!」 「…じゃあ、どうすればいいのよ?」 「そんなの手繋いで一緒に歩くに決まってるよ!」 「なっ!」 私は辺りを見渡した。当然ながら、周りは人でいっぱいだった。 「あんたここ部屋の中じゃないのよ?!それに……人だっていっぱいいるじゃない!」 「部屋の中では手は繋がないよ。それに、私は人前でも気にしないし。」 「気にしろよ!」 「ほら早く!さあさあさあ!!」 こなたが手を前に突き出しながら、私を急かす。はあ、まったくもって仕方が無い。 「…分かったわよ。」 仕方が無いので、私は突き出された手に自分の手を重ねる。 「かがみ!!」 「今度は何だ?!」 「そうじゃないでしょ!」 こなたが怒ったような、拗ねたような顔をした。 「……ごめん」 私は軽く謝ると指と指を絡ませた。恋人繋ぎ、きっとこなたはこう手を繋げと言っていたのだろう。 ここまですると、ようやくこなたの機嫌が戻った。表情も元に戻る。 「うん、それじゃあ行こうよ!」 びっくりするような速さでこなたは歩き出した。余りの速さに手を引かれる形になる。 そんな中、ふと私は思ってしまった。こいつ、『甘い』にかこつけて私に甘えたいだけなんじゃないかって。 こなたはすごく甘えるのがヘタだから。それとも私も甘えるのが苦手だから、そう思っちゃうだけかな。 やっぱり『甘い』って感覚が知りたいだけなのかな?どっちなんだろう? 「どうしたの、かがみ?」 気が付いたら横に並んでいたこなたが聞いてきた。 「ううん、なんでもない。」 まっ、どっちでもいいか。 ――――――― 「しかし、あんたがこんな所知ってるなんてね。正直驚いたわ。」 「まあ、ここしか知らないけどね。」 いつも通りかと思っていたら、ちょっとしたサプライズがあった。 そのサプライズがここ。万世橋を渡って少し歩いたところにあるフルーツパーラーだった。 「昔アキバに来るときはお父さんも一緒でね。こうしてよく連れてきてくれたんだ。」 「ふ~ん。」 おじさんとこなたが、今の私達のように席に座っているのを想像する。なんともほほえましい光景だった。 「昔のアキバは今と違ってパソコン街でね。食べ物やさんなんてほとんど無かったから、いっつもここに来てたのさ。」 「思い出の場所って訳ね。ところで、昔ってどれくらい昔?」 「う~ん…まっ、10年前くらいかな。」 「小学生の頃からアキバ通いかよ…」 そんなことを話していると、注文していた料理が運ばれてきた。 二人とも同じもの。ホットケーキにパフェにアップルティー。全部こなたのお勧めだった。 「それじゃあ、食べよっか。」 「そうね。それにしても、ホットケーキなんて久しぶりだわ。」 ホットケーキにメイプルシロップをかける。そしてその後に、バターを塗った。フォークとナイフで一口大に切って食べる。 「あっ…美味しい。」 ホットケーキの素からでは決して味わえないふっくっらとした歯ごたえに、メイプルシロップの甘みがよく合っていた。 「それはよかったね。ところでかがみん?」 「なに?」 「今日のお題、なに?」 嫌な予感がした。 「甘い…だっけ?」 「その通り!というわけで、食べさせてあげるよ。はいかがみ、あーんして?」 「いっいい!自分で食べられるから!」 こなたに食べさせてもらう……そんな恥ずかしい事、出来るわけないじゃない! 「もう、今更恥ずかしがらないでよ。それに、かがみ午前中に付き合うって言ってくれたよね、確か。」 「うっ……」 確かにそう言ってしまった。ああ、なんでそんなことを言ってしまったのか!ちょっと前の自分を心底憎む。 「ほら、かがみ。あーん。」 「……」 私は諦めて口を開いた。こなたはそれを見ると、一口大に切りそろえたホットケーキを私の口に運んだ。 口を閉じる。何も考えずに咀嚼する。なんでだろう?こなたから運ばれたそれは、さっきよりも甘く感じられた。 「どう?美味しい?」 「うん……」 それ以外答えられなかった。 「それじゃあ、私にお返しして?」 「なっ!私もやるのかよ!」 「……かがみ今日は付き合ってくれるんでしょ?」 こなたはそう言うと大きく口を開けた。私は軽くため息を吐くと、同じく一口大に切ったホットケーキをゆっくりとこなたの口に運んだ。 まるで、雛鳥の餌付けだと思った。 口に入れたホットケーキをモッキュモッキュと食べるこなた。その姿はとても可愛くて、ちょっとだけ気恥ずかしさが吹き飛んだ。 「美味しいね。…ねえ、かがみ?」 「今度はなに?」 「頼んだ料理って、結構量あるよね。」 「そうね。どれもカロリーが高そうだわ。」 ホットケーキにパフェ。考えただけでも体重計が恐ろしい。あっ、午前中にチョコレートも食べてたっけ? 「だから、夕飯はちょっと遅めにしようかと思うんだけど、別にいいよね?」 「別にいいけど…って何であんたの家の夕飯の時間を、私が決めないといけないのよ。」 「あれ、言ってなかったけ?今日ゆーちゃんもお父さんもいないから、かがみに泊まりにきてもらうつもりだったんだけど?」 「はああああ?!そんなの全然聞いてないわよ!」 「じゃあ今言った。ちなみにこれは決定事項だから。キャンセルはできないよ。」 おかしい…今日は絶対おかしい! 私は頭を抱えながら思った。何で今日はこんなにも……こんなにも素晴らしいことが起こるのか?! 「……そっか、泊まりか…ふふっ、二人っきりかぁ……二人っきり……だとすれば、こういうことやああいうことも出来るわけね…」 「おーい、かがみ~ん。帰ってこーい!」 「はっ!」 いけない、軽く妄想の世界にダイブしていたようだ。 「ご、ごめん。ちょっと考え事。」 「考え事は駄々漏れだったけどね。ちなみに、そういうことも出来ないかがみのこういうことやああいうことってなに?」 「何の事かしら?」 笑顔で切り返す。私の名誉と尊厳の為に言っておくが、こういうことやああいうことは決して、やましいことではないので誤解しないように。 「なんか釈然としないけど…まあ、いいや。今度はパフェだよ、かがみ。はい、あーん。」 「あーん。」 今度は言われるがままに口を開ける。せっかくこなたが食べさせてくれたパフェだけど、泊まりの事が気になって気になって……味なんて全然分からなかった。 ――――――― こなたの家についてからも、こなたの甘い行為?は止まることを知らなかった。 夕食のときはまたしても行われた『食べさせて&食べさせてあげる』攻撃を延々と繰り返し、まったりしているときはずっと抱きつかれたままだった。 そして極めつけはお風呂だ。あろう事か『一緒に入ろう、かがみん!』などと言って、いきなりお風呂場に入ってきやがった。 いや、それだけならいい。それだけなら全然構わない。なぜなら、私達は女の子同士だ。 学校で着替えだって一緒にしたこともあるし、お風呂だって海に行ったときに一緒に入った事がある。 だから普通に入ってくれれば、なんてこともない事なのだ。そう、普通に入ってくれれば… それをあいつは『なんでかな?こうしてるとすごくドキドキするね。』なんて体を密着させて、かつ上目遣いにそれでもって心底幸せそうに言うものだからもうっ!! さすがにその時ばかりは、本当にそういう事をしてしまおうかと思ったわよ。 …まあ、そう思っても結局しなかったのは、私がこなたの言うヘタレだからか、それとも意思が固いからか?お願いだから後者であって欲しいのだけど。 さて、そんなこなたの攻撃を受けながら私は考えた。いや、正確にはこなたから質問を受けたときからずっと考えていた。 結局、甘いってなんなんだろうって。私達の今日一日の行動は、果たして甘いのだろうか、と。 そして考えに考え抜いた結論がこれだ。 「甘いなんて感覚は、その行為をしている人たちには分からないんじゃないかしら。」 「どういうこと?」 隣にいるこなたが、デザートのフルーツヨーグルトをお皿に装いながら言った。 お風呂から上がった私達は、リビングでデザートを食べようとしていたところだったのだ。 「う~ん。口で説明するのは難しいんだけど。例えば……」 私は私の部屋にいた時と同じように、こなたの頭を優しく撫でた。 「どんな感じ?」 「かがみに触ってもらえて、凄く嬉しいよ。」 「それじゃあ、これが『甘い』と思う?」 「よく分からない。」 そう言ってこなたは首をかしげた。 「うん、私もよく分からないわ。頭を撫でてあげることが『甘い行為』なのか、その行為をしている人たちには分からないのよ。ちなみに、この場合は私とこなたね。 でもね、嬉しそうとか、幸せそうっていうのはなんとなく分かるじゃない?小説とかだったら文章にも書いてあるしね。 そういう本人達が感じてる嬉しいとか幸せっていうのを客観的に感じる事。 それが『甘い』って言う感覚で、それが分かる行為が総じて『甘い行為』って言われるんじゃないかな。 ほら、キスとか抱きしめるとか、いかにも幸せそうじゃない?」 「なんだかよく分からないことを、さらっと言わないでよ。」 「私説明ヘタかな~。要するに、本人達が幸せだって思ってる行動を見て、自分も幸せだって思ったのなら、それが『甘い行為』でその幸せが『甘い』っていう感覚なのよ。」 他人の不幸は蜜の味っていう言葉がある。正直なところ、どうにもこの言葉が私は好きになれない。やっぱり他人の不幸は不幸として受け取るべきだと思うのだ。 もし他人の幸せを見て同じように幸せを感じられるのだとしたら、きっとそれはいいことなんだと思う。 他人の不幸でしか甘みを感じられないんだとしたら、それこそ不幸だ。 「ちなみに、これは想い合ってる人たちがしてるっていうのが前提条件よ。例えば、こなたの頭を撫でてあげたのが私じゃなくて… そうね、おじさんだとしたら、ほほえましいとは思うかもしれないけど、甘いとは思わないでしょ。」 「うん、ウザいだけだね。」 「…容赦ないな、あんたも。」 勝手に例に上げさせてもらったおじさんに、ちょっとだけ同情した。ごめんなさいと心の中で謝っておく。 「とまあ、これはあくまで私の意見ってことで。あんたは自分で考えて、自分の意見を持ちなさい。」 「えー!かがみの意見が私の意見でいいよ。」 こなたがめんどくさそうに言った。 「駄目よ。こういう答えのない問題こそ、ちゃんと自分で考えて、自分の答えを導き出さないといけないのよ。大体、こんな問題こなたなら楽勝よ。 なにしろ、もっと難しい問題に答えを出してるんだから。」 「難しい問題ってなに?私そんな問題解いたかな~?」 こなたが顎に手を当てて、考える素振りをした。心なしか頭のアンテナがハテナの形をしているように見える。 「だって、こなたは私を選んでくれたじゃない。ちゃんと悩んで、苦しんで、その上で女の子の私を選んでくれた。 恋愛は自由だって言うけれど、だからこそ難しい問題なんだから。それに比べたらこんなの簡単……って、どうしたの、こなた?」 こなたは私の言葉を聞いた途端、耳まで真っ赤になって下を向いてしまった。 「あ~、もしかして私なにかした?」 「……かがみってさ、時々惜しげもなく恥ずかしい台詞を言うよね。」 私は先ほどの自分の言葉を思い返した。そして思い出し終えたとき、こなたと同じように私も耳まで赤くなった。 「……確かにちょっと恥ずかしいかも。」 「恥ずかしい台詞禁止だよ……」 「ごめん……」 二人だけのリビングが途端に静かになった。 なにか言わなきゃと思うのだけど、なんて言っていいのか思いつかなかった。 「ごめん……」 何が悪いのか分からないけれど、もう一度謝っておく。 すると、こなたが優しく微笑んだ。 「今日のかがみは謝ってばっかだね。」 「ホントだ……っていうか、全部あんたのせいだろ?!あんたがアレしろ、コレしろって言うから?!」 「そうだっけ?」 「そうよ!」 そう言って、私達は笑いあった。ああ、本当にこんな時間がずっと過ごせればいいのに。いや、絶対に過ごしてみせる。 私は心の中で小さく、だけど確かにそう思った。 「デザート、食べようよ。」 こなたがヨーグルトを装ったお皿、それにスプーンを私に差し出した。 「そうね、そうしよっか。」 私はそれを受け取ると、そのまま口に入れた。 ヨーグルトの酸味と、シロップ漬けにされたフルーツのほのかな甘みが口の中に広がった。 美味しかった。部屋で食べたチョコレートよりも、アキバで食べたホットケーキやパフェよりも、私はこっちのほうがいい。 「どう、美味しい?」 こなたがそう聞いてきた。もちろん答えなんて決まってる。 だから私は笑顔で答えてあげた。 「もちろん!甘さ控えめで、とっても美味しいわ!」 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-07-15 11 06 16) 甘い…ご馳走さまでした。 -- 名無しさん (2010-04-03 01 06 47) かわいい。最初から最後までもう、とにかくかわいい。 -- 名無しさん (2009-02-27 21 54 31) かがみんのヘタレ〜!! だけどこなかがはそれでも 充分甘いから 気長にいきましょ かがみさん。 -- 無垢無垢 (2009-02-20 22 06 12) シーンを逐一妄想できる私に萌え死をしろと仰るか作者殿は!(爆) 良いでしょう覚悟完了ですよ! こう言う正統的バカップルものは楽しくてしょうがないです。 あとかがみはヘタレでOK。だが暴走系(爆) -- こなかがは正義ッ! (2009-02-19 23 50 54) 見ているだけで血糖値が上がっていく気がするのと、にやけが止まらない。 素晴らしいです! -- 名無しさん (2009-02-19 21 59 08) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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あなたの身の回りで起こる出来事の意味はなんでしょうか? 毎日、あなたの周りではいろんなことが起こると思います。 そうした出来事の意味を考えたことはありますか? 毎日毎日、苦しいことばかりですか? 楽しいことがありましたか? 悲しい出来事がありましたか? それらはすべて、いいことでも悪いことでもありません。 出来事にもともと意味があるのではないのです。 起きたことに意味をつけるのはあなた自身です。 例えば、忙しくてお昼を食べ損ねたとしたら。 ある人は、楽しみにしていたランチが食べられなかったので その出来事は悪いことと判断します。 他のある人は、ダイエット中だったので、 摂取カロリーが減らせて、まぁ良かったかなと判断します。 こんなふうに、どんな些細な出来事も それに意味や価値をつけているのはあなた自身です。 次に起こる出来事に、あなたはどんな意味をつけますか?
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――その日、運命に出会う。 「ところでさ、ワンダフル。結局あたしらって何なんだろな」 DQBR2完結の感慨を一通り味わい合って尚、再び歩き始めた彼らの話題はDBR2一色だった。 そんな中、目的地の学校が見えてきた辺りでようやく、この書き手聖杯に関する疑問をクルツは口にする。 それは書き手聖杯の地に降り立った時にも口にした疑問で、一旦後回しにしていた問いかけだった。 「あれ、またその話かい?」 「あん時持ってなかった情報を手に入れたからな。それも加味して考え直そうって話さ。 てめぇにも心当たりはあんだろ?」 「まぁ、ね」 同意を求められたワンダフルは深く頷き、求められた答えを口にする。 「僕たちが書き手聖杯戦争に連れて来られた時点の記憶じゃまだ書いていないはずの作品の数々。 それを投下したという記憶がいつの間にか僕たちにはあるということだよね?」 「そういうこった」 DQBR2の完結を共に喜んだ記憶は真新しい。 しかしこの地でワンダフルがマスターとして目覚めた時、DQBR2はまだ最終局面に突入したくらいで、完結などしていなかった。 していなかったからこそこの地で完結を祝ったのだ。 とはいえもちろん、情報室を目指していた最中であった二人はパソコンになど触れた覚えもなくて。 スマートホンなども持っていない以上携帯投下も叶わない。 何より聖杯戦争にとっかかりで執筆をした覚えもないのだ。 なのにDQBR2は彼らが聖杯戦争に呼ばれて以降も数多の投下がなされた後に完結した。 それが他の書き手によるものなら納得できる。 自分たちがいない間に完結させやがってとか悔しがること待ったなしだがおかしな話ではない。 だが、完結を成したのはクルツであり、その道筋を作った一人はワンダフルだ。 自分たちが執筆できない状況にも関わらず確かに読み書きした覚えがあり、その作品もどう見ても本物の自作だ。 これはどういうことなのか。 「あたしの代わりに誰かがあたしに成りすまして書いた……ってわけじゃねえよな。 あんな面白くてDQBR2愛にあふれた話、このあたし以外にありえねえ」 「となると逆はどうかな? つまり僕たちの方が偽物だ。 自分を書き手だと思っているレプリカ。テイルズロワ2辺りが絡んでるならあり得なくもなさそうだけど」 「レプリカ、ね……」 クルツが押し黙る。 何も自分たちが偽物の可能性に気づきショックを受けたというわけではない。 そもそもがソフィアやロッシュの姿を取っている以上、本来の◆CruTUZYrlMや◆1WfF0JiNewでないことくらい分かっている。 自分たちが書き手聖杯のために生み出された存在である可能性も考慮済みだ。 今回黙ったのは単に、レプリカなどというよそ様のネタではなく、自ロワのネタで説明がつくのではと考え込んでいるからに他ならない。 しばらくの間を置いて自分の考えをまとめたクルツは、自らの考察を言葉にする。 「なあ、ワンダフル。覚えてっか。あたしがてめぇに召喚された時にした話のこと。 あの時、てめぇ言ったよな。あたしらが夢の世界の住人じゃないかって」 「言ったね」 「あれ、やっぱ案外いい線いってんじゃねえか? この場合夢や希望というよりも寝てる時に見る方だがよ」 自分たちが◆CruTUZYrlMや◆1WfF0JiNewの見ている夢なら説明のつくことは多い。 本人の見ている夢である以上、自分たちは本物とも言える。 毎晩寝た後の意識が書き手聖杯に来ているなら、この夢を見だした後に書いた作品の記憶があることや記憶が更新されていることも不自然ではない。 それでいて記憶が不完全なのも夢なら納得できる。 夢で意識のあることは多々あるが、自分のことを全て思い出せるのは稀だ。 「胡蝶の夢、か。若干ドラクエロワ2に寄り過ぎている気もするけど、ドラえもんにもそういう映画あったっけ。 一般的な発想としても十分ありえるかもしれないね」 「だろ? もちろん断言するには危険だが、考察の一つとして頭の隅に置いとくのはありかもしれないぜ。 ……っと、そうこうしているうちにご到着だ」 話し込むのに夢中で、いつの間にか校門をくぐり抜けてしまったらしい。 目の前に広がる校舎の様子に気を新たにする。 どうやらここから先は考察に気を回している余裕はなさそうだ。 「マスター」 「うん、気づいてるよ。情報室というか図書室? カーテンが開けられてるね。他は閉まってるのに。 ご丁寧に電気まで点いてるところを見ると夜から朝にかけて情報収集をしていたのかな。 不用心この上ないけど相当の自信家か、何らかの罠か、それともただのバカか」 「書き手である以上下手なフラグは立てねえと思うけどなあ……。 サーヴァントの気配もするからもぬけの殻ってわけでもねえ。 どうすっよ? アタシ的にはどんな形でも情報が得られる以上会ってみるの推奨だけど、うーん」 「どうしたの? 何か問題あるのかな」 「あー。そのなんだ、アタシのスキルがさ」 「スキル? ……ああ、そっか」 珍しく言いよどむクルツに首を傾げていたワンダフルだったが得心がいった。 原因はクルツのスキル、勇者の宿命だ。 DQBR2の象徴の一つが形をなしたこのスキルは良し悪しに関わらず異常事態や宿命の出会いを招きやすい。 下手すればいきなりのラスボスエンカウントや幼女に刺されるという事態にもなりかねないのだ。 「ど、どうすっよ。あたしは責任取らねえからな?」 「大丈夫、いざとなったら令呪で君を盾にして逃げるから」 「残念、対魔力EXは伊達じゃねえ!」 「重ねて令呪をもって命ずる!」 だらだらと汗を流しながら顔を見合わせる二人。 勇者らしくない押し付け合いをしながらも、自ずと彼らは図書室へと歩を進めていく。 虎穴に入らんば虎児を得ず。 自作にちょっとまずいかなと思うことがあっても、面白いとか必要だとか感じたならばええいままよと投下するのが書き手だ。 図書室の扉の前で一旦身構え立ち止まり、様子をうかがうも相手は出てこない。 ならばと細心の注意を払いながらも二人は扉を開け放ち、中へと踏み込み、そして―― ――彼らは運命に出会った。 「久しぶりだね、勇者アイギス。ううん、その姿ならこう呼ぶべきかな。仮面の王と夢の塔・クルツ」 アイギスと自らを呼ぶ声にクルツは息を飲む。 数多のロワに手を出してきた自分だが、長く居ついたロワはそう多くはなくて。 だから自分をラジオのMCではなく書き手としてまず第一に認識する者が少ない時期もあって。 DQBR2やPWBR、新安価を完結させた今からすれば昔のことだけど、でも確かに居ついて名を得たロワがあって。 今呼ばれたのはその時の名前。 その名で自分を呼ぶ者はそうはいまい。 声が来た方、書庫の奥へと目を向ける。 そこには開け放たれた扉から吹き込む風に髪を靡かせる一人の少女の姿があった。 ああ、確定だ。その姿で自分をアイギスと呼ぶ者など、その名を贈った当人以外にありえない。 自らが確かに熱中し、そして名を上げたとあるロワの主の名をクルツは万感の想いを込めて絞り出す。 「ご無沙汰してるのはあんたの方だろ、ヴァルハラ。そっちがご無沙汰している間にあたしは完結させたぞ」 少女の名はヴァルハラ。RPGロワの魔王にして勇者。 かつてクルツが一万メートルの景色を描いた世界の天頂に座するもの。 最強の過疎ロワとさえ呼ばれた世界のトップ書き手。 クルツがDQBR2へと飛翔するに辺り遥か彼方へと通り過ぎて行った過去の象徴――。 「あいたたた、痛いところをついてくるなー。大丈夫だよ、クルツ。 みーも君たちに続く気満々だから。止まったままでは終わらせないよ」 「ハッ、その割にはこんな所でそんななりで何してるんだか」 今だ旅の途上にあるいつの間にか追い抜いてしまった物語の主に何とも言えない感情を抱いて悪態をつく。 まあ渡り鳥なのはRPGロワ書き手らしいとも言えるし、自分が言えたものではないだろうが。 それにしてもその姿はいただけない。 ヴァルハラが模しているのは可愛らしい魔女っ娘の姿だ。 確かにかの魔女っ娘を描いた夜空もRPGロワ初期の名作であり、かつ作中的にも大きな影響を与えたヴァルハラの代表作の一つといえる。 しかしヴァルハラにはRPGロワそのものの代表作とさえ言い切れる唯一無二の作品があることをクルツが忘れるはずがなかった。 何故ならそれはDQBR2書き手としても意識せざるを得なかった一作で。 ドラクエに限らず数多のロワ、数多の書き手が影響を受けた一作なのだから。 「何可愛い子ぶってんだ、ヴァルハラ。あんたがRPG書き手として召喚された以上、あんたの姿はそんなものじゃねえだろ。 いやまあ女装している俺が言えたもんでもねえが性転換っておま。 ……てかおい、まさかてめぇクラスまで詐称してるのか!? いくらなんでも自重だろ……」 「あははー☆ なんのことかなー? みーにはわかんないや~。 大体ソフィアな君の前でみーにユーリルの姿を取れというのは自殺行為もいいとこだよね。 君はみーに死ねというのかな?」 「むぐ……」 クルツには返す言葉がなかった。 DQBR2的に考えればユーリルはソフィアにちぎっては投げの無双をされてもおかしくない。 他ならぬ自分がそういう話を書いたのだ。 ここは引くしかなかった。 ああ、そういえば今の自分はそれこそ◆CruTUZYrlMの模倣品のようなものなのだろうか。 だったらどうした。どう歩くかは自分次第でそれが自分を作るのだと書いたのはどこの誰だ。 そんなことを考えているとヴァルハラが席を立つ。 「なんだよ。もう行っちまうのかよ」 「うん。君と僕が一緒にいるという大きすぎるフラグは互いのためにもためにも避けたほうがいいと思うんだ」 「今はまだ、か?」 「あははー☆ 君はここで調べたいことがあるんだよね。 みーはもうここにある分は読み終わったし、少し運動してこよっと☆ マスター! お外いこ!」 「お、お姉さま、お姉さまが、お姉さまが手を、わたくしの手をー!」 マスターであろうもう一人の少女の手を握ってヴァルハラが駆け抜けていく。 その様を見送ってクルツは大きく息を吐いた。 「はぁああああー。一触即発たあならなかったかー。その方が楽だったかもだがなー」 そこに込められた安堵と不安の感情を察したワンダフルはクルツを労う。 「お疲れ、クルツ。やっぱりサーヴァント同士、しかも大物を相手にすると疲れるかい?」 「ぬかせマスター。てめぇもドラクエ書き手ならあれがどういう書き手だか知ってだろ。 だからあたしに丸投げしててめえはてめえでマスター同士なんか喋ってたんだろが」 「まあね」 RPGロワがトップ、“魔王”ヴァルハラ。 あれは“救い”の化け物だ。 否、ただの化け物ならいい。 パロロワ界は広い。化け物と称される書き手なんて少なくもなく、クルツやワンダフルもその領域の人間だ。 だからこそ問題なのはヴァルハラが化け物なことではなく、その方向性。 “救い”――救われぬ者を救う者。 どのロワを探したとしても、そのクラスに該当する書き手は他にないとさえ称される救済者<セイヴァー>たる書き手。 その書き手が。 救われぬものを救わずにはいられないそんな勇者を描き切ったあのヴァルハラが。 何をするでもなく図書室で読書にふけっているだけだって? 馬鹿なありえない。 書き手ロワ書き手として召喚された場合なら分かる。 しかしRPGロワ書き手として召喚された彼が、書き手たちが殺し合う地で救いを求める者を、救われぬ者を救いに行こうとしない、探そうともしない。 そんなことがあるはずがない。 もしあるとすればそれはこの書き手聖杯自体が決して救われないものではないということ。 その上でヴァルハラはそのことを知っているということ。 「間違いねえ。ヴァルハラはこの書き手聖杯の真実に近い位置にいる」 「僕は君が殴ってでも聞き出すかと思って退避してたんだけど」 「そうしたいのはやまやまだったが、書き手だからなあ。 ネタバレしろと言われて分かりましたと答えるわけはねえし、あたしだってそんなつまんねえ真似はしたくなかったし」 だから、とクルツは決意を新たにする。 「暴くしかねえだろ、あたしたち自身の手で真実を。書き手聖杯のあるいはヴァルハラの真実を。 その上でそいつをつきつけてやろうじゃねえか、あいつが観念して口を開けるための前振りとしてよ」 そのためにも情報を集めないとなっと、読書スペースに設置されたパソコンの一つを起動する。 どうやら立ち上げには少し時間がかかるみたいで、やる気はあれど手持無沙汰なクルツはふと気になっていたことを尋ねる。 「そういやワンダフル。あいつのマスターと何を喋ってたんだ」 ヴァルハラとクルツが対峙している時、ワンダフルもまた相手のマスターを連れ立って何やら奥で話していたのだ。 「ん? ああ、腕章を見たらあの子、中学生ロワの書き手みたいだったからね。義理の妹へのなんてことないお節介さ」 問われたワンダフルが浮かべたいつものおちゃらけた笑みに一瞬混じった悪しき気配に、クルツは心の中で合掌する。 あーあ、ご愁傷様、と。 【学園・図書室・朝】 【悪しき世界の人々・ワンダブル@ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅡ】 [状態]魔力消費なし [令呪]残り3角 [装備]ロトの剣 [道具]なし [所持金]全滅後なので所持金は半分 [思考・状況] 基本行動方針:書き手聖杯を自分が満足の行く形で終わらせる 1.どう終わらせるかを見定めるために、書き手聖杯戦争の真実を解き明かす手伝いをする。 2.さて、上手くいくと儲けものだけど 【アーチャー(仮面の王と夢の塔・クルツ)@ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅡ】 [状態]魔力消費なし [装備]天空の剣@DQ4、メタルキングの盾@DQ6、KBP GSh-18 [道具]なし [所持金]金塊@DQシリーズくらいなら錬金できる [思考・状況] 基本行動方針:書き手聖杯戦争の真実を突き詰める。 1.パソコンや本で推理用の情報収集。Fate関係優先。 2.ヴァルハラに真実をたたきつける 重ねられた手。小さな手。温かくも力強い手。 ほんの少し前なら息を荒くすること間違いなしな好シチュエーション。 なのに、ジゼルがヴァルハラを見る目にはいつもの熱を帯びた視線に混じり、ほんの僅かに猜疑の色が見え隠れしていた。 書き手聖杯を楽園と称する彼が見せた何かを知っている素振りとその慈愛の前に一度は浮いて消えたヴァルハラへの疑念。 それが形を変えて再度浮上したのは、あの男――ワンダフルのせいだった。 旧知の仲らしいヴァルハラとクルツの会話に割って入れない空気を感じたジゼルは、自分同様置いてけぼりを食らっていたワンダフルから情報交換を持ちかけられていた。 ジゼルとしても断る由もなくて、しばらく互いのこれまでを伝え合った後突如、壁ドンされ、耳元で囁かれたのだ。 『君さ。自分が呼び出したのがどういうサーヴァントか分かってるの?』 思わずテレポートで逃れようとしたジゼルの心ごと縫いとめるその言葉。 必死にジゼルは敬愛するセイバーの素晴らしさを説くもワンダフルは大げさな身振りで嘆くばかり。 『分かってない。分かってないよ。確かに僕はサーヴァントとしての彼は知らない。 でも彼の作品は知っている。自作である一節を使うくらいには意識していたよ』 ワンダフルは告げた。ジゼルがセイバーと呼んでいるその存在がRPGロワという枠に留まらない程の存在であることを。 『言い直そうか。ヴァルハラという書き手を他ならぬ君が――中学生ロワの書き手が召喚した。 その意味を考えはしなかったのかな』 そんなヴァルハラに影響を受けたのは何もドラクエ系列のロワだけではないということを。 『“救われぬものに救いの手を”。DQBR2書き手としての僕も使った一節だけど。 ねえ、中学生ロワでこの言葉はどういう意味を持っていたかまさか忘れたなんて言わないよね?』 ワンダフルは突きつけてきた。目を逸らしてはならぬ現実を。 たとえ他のどのロワのマスターがヴァルハラを呼び出したとしても危惧する必要のなかった、中学生ロワの書き手だからこそ背負わねばならない宿業を。 『彼は救い手だよ。救われぬ者を救う者。全部全部救うだろうさ。けどどうやって救うんだろね?』 曰く、召喚の媒体となる触媒がない場合、サーヴァントはマスターとの縁や似たもの同士、相性を元に選定される。 ならば中学生ロワのトップ書き手に救いの最果てたる存在が召喚された所以とは果たして……? 『まあ本来はどこぞの◆jN9It4nQEMが背負うべき責務だったのかもだけど。君が呼んじゃった以上は仕方ないよね。 トップ書き手である君はいろんな意味で中学生ロワを背負っているような状態なんだし』 そこだけはどこか申し訳なさげに詫びた、知っているようで知らない誰かは最後に、悪の魔王が浮かべるような笑みを顔に張り付けてこう締めくくった。 『勘違いしないで欲しいけど。僕もね、あのヴァルハラとは戦いたくないんだ。 DQBR2がRPGロワに負けるなんてこれっぽっちも思ってないけど。でも、ただでは済まないだろうし。 だからね、君にお願いがあるんだ、ジゼル。もしもの時は君が責任を持って僕たちがヴァルハラと戦わないで済むようにして欲しいんだ。 大丈夫、言ったろ、元を辿れば僕の責任だって。ヴァルハラに気兼ねするなら僕のせいにしてくれて構わない。 悪いのは僕だ、君じゃない。――それじゃ、任せたよ』 ヴァルハラと戦いたくない。ヴァルハラと戦わないで済むようにして欲しい。 その“お願い”に潜む真意と悪意を察せられないほどジゼルは愚かではなかった。 この世界で誰よりも、ジゼルにはヴァルハラをどうとでもできる力があるのだから。 「お姉さま……」 内股をぎゅっと擦り合わせて足を止め、前を行く少女を呼ぶ。 どうしたのと振り向き微笑む少女の笑みはいつものように優しくて。 それだけで救われたと錯覚してしまいそうになったジゼルは、自分が疑い命を握っている少女に救いを求めることができなかった。 【学園外・朝】 【ジゼル(◆j1I31zelYA)@中学生ロワ】 [状態]魔力消費なし、疲労なし、眠気(小) [令呪]残り3角 [装備]仕込み針@とある科学の超電磁砲 (残弾:コスモガン仕様) [道具]なし [所持金]中学生の平均的なお小遣い程度ですわ [思考・状況] 基本行動方針:自ロワの宣伝と読者増加のため活躍する 1.ひと通りセイバーに自ロワは追いついてもらえましたし、他の方たちにも宣伝したいけど…… 2.セイバーは書き手聖杯戦争について何か知っていそうですけど……信じたいのに…… 3.これが中学生ロワ書き手としての宿業ですの? この手で小さな花を手折るしかないのですの……? 【セイバー(◆iDqvc5TpTI )@RPGロワ】 [状態]魔力消費なし [装備]ウィスタリアスセイバー@RPGロワ [道具]なし [所持金]RPGクリア後なので相当持っているはず [思考・状況] 基本行動方針:みんなに書き手企画で楽しんでほしい 1.DQBR2完結おめでとー! 2.書き手さんたちと会えるかなー☆ 3.みーはここにる。君の、サーヴァントだよ、ジゼル。 [備考] みんなに輝いてほしいと思っているので特定のスイッチを踏まない限りやる気がありません 026:エンジェル・ハウリングalteration 怪物領域 投下順に読む 028:不動の剣 021:無限大な夢の後で 悪しき世界の人々・ワンダブル :[[]] 021:無限大な夢の後で 仮面の王と夢の塔・クルツ :[[]] 013:Re・貴方の素晴らしき物語 ジゼル :[[]] 013:Re・貴方の素晴らしき物語 ヴァルハラ :[[]] ▲上へ戻る
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―初秋。 シーズンも終わり、肌寒さを感じさせるこのころに一人の男性が自らのブログogabloにて、ファンのコメントに対して自分の意見を熱く語った。 シーズンを終え、今年も毎年同じような成績を残した巨人小笠原内野手(36歳の男性)。 同内野手がブログにてシーズンの終了を報告。応援してくれるファンへ対して感謝の意を表明した。 今年のオフもFA市場の争いはさらに過激を増すと予想され、巨人小笠原内野手(36歳の男性)が本職の三塁から一塁をメインに守る方針もあると球団が発表。 このことにファンが「もうサードゴロに飛びつくカッスの姿は見れないのですか?」「ボールを落とすカッスエラーが見れなくなるのはさびしい」「カッスを動かしてまで獲得する価値のある選手はいないと思う」「三塁を守ってこそのカッスだろ!」といった様々な意見が寄せられた。 共通しているのは、ファンは「三塁手・巨人小笠原内野手(36歳の男性)」を望んでいることだ。 あまりにも三塁を希望するコメントが多いため、巨人小笠原内野手(36歳の男性)がブログで自らの思いをつづった。 「来期からは一塁へ転向するかもしれません。今まで守ってきた三塁を守らなくなるのはさびしいですが、今後も応援よろしくお願いします」という手短なものだった。 これに反発したのはファンだ。「三塁手でなくなるならファンを辞める」というコメントまで書かれる始末。 一喝したのは巨人小笠原内野手(36歳の男性)だ。 (原文のまま) 「三塁を守りたい思いはありますが、これ以上カッスエラーを重ねることはチームにも迷惑になります。何より、内野手であることに変わりはありません。一塁でも三塁でも、内野を守ることに意味があります。今後も応援よろしくお願いします」と答えた。 ―何も外野へ転向するわけではない。彼はそういいたかったのだろう。この意見に納得したファンは素直に一塁転向を後押しした。 これからも変わらぬ内野手のエラーをファンは待ちわびている。 そんな巨人小笠原内野手(36歳の男性)の人気はとどまることを知らず、先日放送された「クイズ!ヘ○サゴン」では自分の答えが正解じゃないとバットでスタジオのタレントをバットでフルスイングする身勝手さを見せたものの、ノックのコーナーでは陽気にエラーを見せた。 巨人小笠原内野手(36歳の男性)が広告塔を務める反バント協会のポスターにも同内野手が出演。 「フルスイングする勇気を」その言葉とともにりりしい表情の超絶イケメン内野手が映っている。 さらに「国民が選ぶ好きな数字」が3億8000万に決定した。これはある内野手の年俸と同じだ。 しかし、今回の内野手報道で、黙っていられないのがメジャーリーガーの手首ねじりゴジライボ井秀喜外野手(通称イボ外)だ。 どうもイボ外は、巨人小笠原内野手(36歳の男性)の度重なる内野手発言にいらだちを隠せないようで、報道陣に対しても「外野手ももう少し注目してほしいですね」と苦笑い。 そんなイボ外も、外野守備で飛び込み手首をねじり骨折した経験を持つファイティングスピリットの持ち主だ。 「外野手のダイビングキャッチやレーザービーム、守備で飛び込み手首を骨折などエキサイティングなプレーを見てほしい」と語った。
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もしもふたり逢えたことに意味があるなら ◆YsjGn8smIk 「う……うーん…………ここは?」 呻きながらゆっくりと瞼を開ける。 ぼんやりとした視界には見覚えのないボロボロの天井が映った。 少し横を見るとそこにはおかっぱ頭の青年が居る。 「おや、お目覚めですかスグルさん」 「ん……おお、ゼロスくん! さっきの光はいったいなんだったんじゃ?」 マイコンが光ったと思った次の瞬間、気が付けば倒れていた。 視線だけで辺りを見まわしてみると何故かそこは知らない部屋。 しかも天井も壁もボロボロの筋肉ハウスよりもボロっちいところだった。 「どうやらあの光は罠だったみたいです。僕らは空間を飛ばされてE-05の廃屋まで強制的に運ばれたんですよ」 「な、なんだってー!?」 「おっと、まだ起き上がらないでもらえます?」 叫びながら跳ね起きようとしたわたしをゼロスくんが止める。 「……なんでじゃ?」 「いやあ、暇だったんであなたの首輪を調べていたところなんですよ」 「く、首輪だってーーーっ!?」 ゾゾーっと血の気が引く。首輪といえば最初の少年がスープになった原因ではないか! 「へ、下手に触ってスープになったりせんじゃろうな?」 「ええまあ……たぶん」 「な、なにーーーっ!? そういう事はわたしのじゃなくって自分の首輪でやっていただきたーい!」 「いやあ、自分のでやってスープになったら嫌じゃないですか」 「おわーっ! 人の身体を使って実験してたのかーーーっ!?」 流石に青筋を立てて問い詰めたのだが、ゼロスくんは軽く返してくる。 「はっはっは、冗談ですよ冗談。ほとんど触っていませんし、スープになる可能性なんてほとんどありませんって」 「な、なんだ冗談だったのか。ふい~、びっくりしたわい」 それを聞いてわたしはほっと胸をなでおろす。まったくゼロスくんの冗談は心臓に悪いわい。 「それで何かわかった事はあるのか?」 「ええ、まだ完全に解析し終わってませんがこの首輪からは実に特徴的な魔力波動が感じられます。 材質的にも未知の物質が使われていますし、アストラルサイドからの探知も微妙に阻害されています。 これは僕自身が力を封じられている為かあるいはこの首輪自体にカウンターがかけられているか、おそらくは」 「ぐ、ぐむ~、さっぱりわからん!」 ゼロスくんが一気にまくし立てるが、わたしには彼が何を言ってるのかちんぷんかんぷんだった。 「え、わかりませんか? そうですね、ここはガウリイさんに説明する感じてやってみましょう」 更にわけのわからない事を言うとゼロスくんは、こほんと咳をして説明する。 「要は……この首輪はすごい、という事です」 「おお、それなら分かるぞ! ってなんか説明になっとらん気が……」 「そういえばスグルさん、すごい回復力ですね。少し眠っただけなのにずいぶん傷が回復してますし」 「当然じゃ、超人の治癒力ならこの程度へでもないわい! あれ?」 なんとなく話を逸らされたような気がして思わず頭を捻る。 だがゼロスくんはそんなわたしに構わず話を続ける。 「さて、一段落した事ですし……とりあえず学校へ戻りませんか? 朝倉さんたちも心配ですし」 その言葉を聞いてわたしは慌てて飛び起きる。 「そ、そういえばリョーコちゃんとヴィヴィオがいないではないか! 二人は何処へ!?」 「ここに飛ばされたのは僕らだけです、あの二人は恐らくまだ学校に居ると思いますよ」 「なんだってーーーっ!? では早く戻らねば!」 そう叫びわたしは急いで玄関まで走る。だが玄関に辿りついた瞬間、ふとある事に気付いて足を止める。 そういえば廃屋とはいえここも家。ならば誰かが隠れているかもしれん、と。 「ゼロスくん、この家には誰もいなかったのか?」 「ええ。この家には空のディパックと、この楽譜が落ちてたぐらいです」 「やはり誰かいたんじゃな……もしやまだ近くにいるのではないか?」 「僕もそう考えて辺りを軽く調べましたが誰も居ませんでしたよ。せいぜいがらくたと死体があったぐらいです」 「へー、さすがゼロスくんじゃな。そうか、がらくたと死体しかないんじゃ……って死体ーーーーっ!?」 「おや、どうしました?」 叫ぶわたしにゼロスくんが笑顔のままで聞き返してくる。 「何を落ち着いてるんじゃ! 死体ってことは……誰かが死んでいるってことではないか!」 「まあ生きてたら死体とは言いませんね」 「な、なんて事だ……その死体は何処にあるんだ?」 「ここを出て、少し右に行った辺りですが……スグルさん?」 それを最後まで聞かずにわたしは廃屋の外へと飛び出した。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「む、むごい……」 廃屋の外へと飛び出していったスグルさんの姿はすぐに見つかった。 死体の前で地面にひざをつき、がっくりとうなだれている。 血で滲んだシーツに包まれた女性の死体。それは頭と胴体が切り離されるという酷い有様だった。 「すまんのう……わたしがもっと早くここに来ておればこんな事にはならなかっただろうに」 スグルさんがそんな事を呟く。かける言葉を思いつかずゼロスは静かにそれを見守った。 死体がある為か辺りには気が滅入るような空気が漂っている。 とはいえそれは普通の人間にとっては、だが。 ゼロスにとってこの場は実に心地よかった。 この死体の女性はよほど心残りがあったのだろう。 絶望と悲痛、それらの不の感情が瘴気となって辺りに染み付いている。 更にスグルさんからも悲しみと悔恨という負の感情が漏れ出してきていた。 (いやあ、人間風に言うとパラダイスって感じですかね) 流石に顔には出さないがゼロスにとっていい見世物だった。 この首輪さえなければ、だが。 (ま、これのせいで心底楽しめないんですよね) こつんと首輪を叩きながらそんな事を思う。 今回首輪の解析に使えた時間は実質一時間程度。 しかもそれは生きた人間に付けられた首輪だ。大胆な解析など出来る筈もない。 (まさかセイギノミカタをスープに変えるわけにもいきませんしね) 結局そんなわけで大した解析はできなかった。 とはいえまったくの無駄というわけでもない。短い時間とはいえ受動的に見て感じるだけでも分かった事は多い。 たとえば魔力波動。 マジックアイテムはそれ独自の固有波動を持っている。当然、首輪からも波動は出ていた。 その波動が妙に特徴的なのだ。まるで生物のような、妙なブレがある。 (あるいは……それが正解かもしれませんね) 生きた首輪。 そう考えて思い出すのはここへ連れてこられる前に上司から受けた仕事中に見たもの。 封魔装甲ザナッファー。 あれもまた装着者を喰らって成長する生きた鎧だった。そしてあの鎧の魔力波動も実に特徴的なものだった。 (まあ、似てるだけかもしれませんが。せめて首輪の実物があればもう少し思いきった実験が出来るんですけどね) と、内心でため息をつく。 それを思うと女性の死体から首輪が取られているのは残念でならなかった。 「こんな美しい人の首を斬るとは……なんと残酷な事を」 ふと思考から覚めて顔を上げるといつの間に立ち直ったのかスグルさんが立ち上がっていた。 「せめてきれいにしてやらねばな……フェイス・フラッシュ!」 そしてゆっくりと自分の顔を――いやマスクだろうか、それをめくる。 「っ!? こ、これはなんて神々しい……!!」 ゼロスは思わず呻く。 マスクの下の彼の顔は光り輝いていた。 それは魔族にとっては忌々しいほど神聖さに満ちた輝きだった。 (過小評価をしていたかもしれませんね……これはなかなか……!) 彼はもしかして神族なのかもしれない。ゼロスがそう思った次の瞬間。 女性の死体は―― 「なにーーーっ!? フェ、フェイスフラッシュが……出ない!?」 何も変わらなかった。 マスクを元に戻したスグルさんが頭を抱えて大げさに驚愕する。 思わずゼロスは尋ねた。 「あのー、スグルさん? 一体何をやってるんですか?」 「せめて首を繋いでやろうと思ったんじゃが……フェイスフラッシュがでないんじゃーーーっ!」 この世の終わりとばかりにスグルさんは頭を抱えながら地面を転がる。 「ふむ」 それで理解できた。 恐らくスグルさんはフェイスフラッシュとやらで死体を修復するつもりだったのだろう。 (しかし出来なかった、と) その理由にゼロスは想像がついた。なのであっさりとそれを告げる。 「スグルさん、恐らくあなたのその力は封じられていますよ」 「な、なんだってーーー!?」 目をむいてスグルさんが叫んできた。 あまりの大声に耳を塞ぎながらゼロスは続ける。 「恐らくですが、それ以外にも身体能力なども制限されてると思いますよ」 「な、なんでゼロスくんがそんな事を知ってるんじゃ?」 疑わしげにスグルさんが聞いてきた。 それにぽりぽりと頬をかきながらあっさりと答える。 「いやあ、お恥ずかしい話ですが……実は僕がそうなんですよ。困ったものですよ、はっはっは!」 「ぐ、ぐむ~。笑い事ではないぞ! なんてことだ、まったく気付かなかったわい! し、仕方ない……このまま埋めるしかないのか。すまんのう」 そう死んだ女性に頭を下げ、スグルさんは手で土を掘り始めた。 嫌な予感がしてゼロスは声をかける。 「あの~、もしやその人を埋葬するつもりですか?」 「当たり前じゃい! 野ざらしには出来ん」 嫌な予感が当ってゼロスは頭をかく。 そんな無意味な事をするぐらいなら謎の原稿でも読んでほしいところだった。 と、そこまで考えてふと妙案を思いつく。 「スグルさん、これ……読めますか?」 ディパックから謎の文字で書かれた紙の束を取り出し、それを穴を掘る彼に見せる。 「ん? なになに、『となりのトトロ』?」 あっさり答えるスグルさん。 あまり期待してなかっただけに思わず聞き返してしまう。 「読めるんですか?」 「当たり前じゃ! ……あ、そうかゼロスくんは外国の人じゃから日本語が読めんのか」 「ニホン語、というのですか。それにしてもトトロ。たしか名簿にあった名前ですね。……それで他には何が書かれているんです?」 スグルさんはその質問には手を振り拒絶し、再び穴を掘り始める。 「悪いがあとにしてくれんか。今はこの人を埋めてやらねば」 「ふむ、ではこういうのはどうでしょう? 遺体のほうは僕がなんとかしましょう。そのかわりこれを読んでもらえませんか?」 そういってひらひらと原稿を揺らしながら示す。 こちらの提案にスグルさんは迷ったように再び手を止めた。 「むう……確かゼロスくんは神様関係の人じゃったな。埋葬するなら本職のゼロスくんがやったほうがいいじゃろうしなー。 う~~~、文字ばっかで眠くなりそうじゃが……わかった。そっちは任せるわい」 「契約成立ですね。では……霊呪法(ヴ・ヴライマ)!」 ゼロスは力あることばを解き放つがその瞬間、僅かに痛みを感じて顔を顰める。 (っ……!) この痛みはほかの存在(もの)の力を借りた代償。 術を使うという事は自分自身の力の否定、精神生命体の魔族にとってはそれは自傷行為と変わらない。 例えばあのかたの力を借りた術などを唱えればそれだけでこの身は滅んでしまうだろう。 とはいえ、いま唱えたのは精霊魔術。 せいぜい子猫に噛まれたぐらいのダメージである。 瘴気に満ちたこの場ならすぐに回復してしまう程度だ。問題はなかった。 呪文は正常に働き、力あることばに答えるように大地が蠢き、もごりと土が盛り上がる。 「お、おわーっ! なんじゃあ!?」 盛り上がる大地と地面の揺れにスグルさんが驚きの声をあげる。 集まった土砂は人の形になり、やがて一体の土人形(ゴーレム)が完成する。 驚くスグルさんを無視してゼロスはゴーレムに指示を与えた。 「ゴーレム、人が埋まるぐらいの穴を掘りなさい」 ま゛っ、と石の軋むような音をたててゴーレムが穴を掘り始める。 四メートルほどのゴーレムだ。一分もしないうちに人一人が埋まるぐらいの穴は簡単に出来た。 その穴に――墓穴にゼロスはシーツで来るんだ女性の死体をそっと置く。 「それではお祈りをしましょう……」 謎の神官として人間と関わることが多い為、神官の真似事はお手の物だ。 そうして厳かに神官らしく祈りを終え、墓穴から出る。 最後に遺体に土をかけるようゴーレムに指示をしようと振り返ったその時だ。 「……おや?」 がらん、と。 ゴーレムが崩れていったのは。 思わず絶句する。 呆然と見ている間にゴーレムはあっというまに元の土砂に戻ってしまう。 偶然だがその土砂が墓穴を埋め、ある意味手間が省けたがとてもそれを喜べない。 「……これも制限のせいですかね」 ぽつりと呟く。 崩れたゴーレムに近づき、石で出来たその頭部を持ち上げる。 本来はこんな短時間で自壊するようなものではないのだ。 ため息をつきながらスグルさんに声をかける。 「スグルさん、何か刃物を持っていませんか?」 「う、うむ。確かあったはずじゃが……ゼロスくん、今のはいったい?」 何が起こったのかよくわからないのか目を白黒させながらスグルさんが聞いてくる。 「ゴーレムの事ですか? ああ、あれは大地の…………いえ、そうですね簡単に言うと僕の魔法ですよ」 「なんとっ! ゼロスくんは魔法使いじゃったのか!」 「ええまあ。謎の神官(プリースト)として当然のたしなみですよ……ところで刃物は?」 「う、うむ……ここにあるぞ!」 「少し借りますよ」 そういってスグルさんがディパックから取り出したナイフを借り受ける。 ゼロスはそのナイフで良い感じに墓石かわりになりそうなゴーレムの頭部に文字を刻んだ。 『金の髪の女性、ここに眠る』 それを墓の上に置きスグルさんに向き直る。 少し想定外のこともあったがこんなものだろう。笑いながらスグルさんに声をかける。 「こんな感じでどうでしょう?」 「おお、なんと立派な墓だ! なんまんだーなんまんだー」 手を合わせながらスグルさんが謎の言葉を呟く。 死体を埋めてゴーレムの頭部を置いただけなのだがスグルさんは気に入ってくれたようだ。 そうしてしばらくぶつぶつ呟いていたスグルさんだが、ふと真剣な表情でこちらを振り向くと何故か頭を下げてきた。 「ゼロスくん、わたしは謝らねばならない。 こんなにも他人を思いやる心があるおまえを、わたしは悪魔みたいな氷の精神を持っているのではないかと疑ってしまった……」 「おや、そんな風に見られていたんですか」 意外と鋭いその推測に僅かに驚く。内心で密かに彼への評価を上げる。 ただの馬鹿というわけではないらしい。ゼロスはそんな彼にナイフと一緒に原稿を渡しながらにっこりと告げる。 「謝らないで下さいよそんな事で。それより原稿の朗読をお願いします」 「うむ、まかせろ!」 そしてスグルさんは謎に包まれていた原稿へと視線を落とす。 だがその途端、彼は頭を抱えて唸り始めた。 「ぐむー、文字ばっかで頭が痛くなってきた……」 「頑張ってください、なにか重要な事が書かれているかもしれませんし」 「ううう、しかたないのー」 そうして語られた原稿の内容は――― 田舎へ引っ越してきた草壁という家族とそのとなりに住むトトロという生物(?)との交流の記録だった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ん……え?」 ふとシンジが気が付くと、そこは森の中だった。 「あれ僕は……?」 「よう、気が付いたか?」 その視界に突然ひょいっとバンダナを巻いた目つきの悪い少年が現れた。 「ひ、わ、うわあああああああああああ!」 知らない人間が目の前にいる事に気付き絶叫する。 慌てて逃げようと身体を捻って、気付く。 動かない。 首以外がまったく動かないのだ。 わけがわからず身体を見ると何故かワイヤーのような物で縛り付けられていた。 「な……なんだよこれ。いやだ、殺さないで! 死にたくない、死にたくない、死にたくない!」 たまらず暴れるがびくともしない。 後ろを見るとどうやら木に縛り付けられているみたいだった。 その時だ、目つきの悪い少年が急に手でこちらの口を塞いできた。 「う、もが……!」 「しっ。静かにしろ」 その瞬間、じくりと頭が痛んだ。そしてその後頭部の痛みで何があったのかを思い出す。 (そうだ……歩いていたらいきなり何かが頭にぶつかってきて) 恐らくは、この少年が殴りかかってきたのだろう。 (ならこいつは僕を殺す気なんだ。え、あれ? 殺される前に殺さなきゃいけないのに……このままじゃ僕が殺される?) そう考えた瞬間、身体が震え始めた。 (いやだ! 僕はまだ死にたくないんだ……死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない!) ガクガクと震えるシンジにそっと少年が声をかける。 「いいか、手を離すが大きな声を出すなよ、ちょっと聞きたい事があるだけだ」 そう言ってシンジの口から手を離す。 だがその言葉は錯乱しかけていたシンジには理解できない。だからシンジは全力で叫んだ。 「うわあああああああああああああああああああああああ!」 叫びながら全身を激しく揺さぶって拘束を解こうともがく。 拘束はまったく揺るがない。だがそれでもシンジは足掻き続ける。 「チッ、やっぱりまともな交渉は無理か……?」 少年が舌打ちするがやはりそれもシンジの耳には入らない。 いや聞えているけど理解できない。したくない。 自分を知っている人間は黙らせなければならない。どうにかして、殺してでも。 そうしないと悪魔が殺しに来る。 シンジの頭の中はそれだけで一杯だった。 「ちくしょう、ちくしょう……解けろ、解けてよ! じゃないと殺される……いやだ、そんなの嫌なんだ……!」 「別に殺す気は……って聞いてねーなこりゃ」 ため息をついて少年が耳元で叫ぶ。 「おい、その肘の銃創! 誰か近くにヤバイ奴でもいるのか?」 「ひっ……し、知らない。僕は何も知らない!」 その大声は理解できてしまった。だが、ヤバイ奴と聞いて思い出すのはやはりあの悪魔。 何も思い出したくなかった。あの悪魔のこともみくるさんの事も全部。 だから逃避する。身体は逃げれないのでせめて心の中へと。 (なんで誰も僕のことをわかってくれないんだ……守ってくれないだよ……誰か……助けてよ……) うつむき目を閉じて、自分の殻に閉じこもる。 それがシンジに出来る精一杯の抵抗だった。 だが少年はそんなシンジを放っておいてはくれない。 「いいかよく聞け、オレはお前を殺す気はない」 その言葉を目をつぶったまま拒絶し、叫び返す。 「嘘だっ! お前も僕を殺そうとしてるんだ! 曖昧に笑って、ごまかして、僕を殺す気なんだろ!?」 「ヒエ~~~、駄目だこりゃ。こうなりゃ気は乗らないがあの手でいくか」 「誰か僕を助けて……。一人にしないで、僕を殺さないで、お願いだから僕をたすけ―― うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 唐突に襲いかかってきた痛みにシンジは絶叫した。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 眠りかけながらもなんとかスグルさんが朗読し終えた原稿の内容は、実際問題それほど役に立つものではなかった。 少なくとも首輪を外す事に関しては、だが。 原稿を読み終わった後、スグルさんと二人で学校を目指して森の中をひたすら北西へと歩いていた。 手に持った原稿を見つめながらゼロスは結論付ける。 「まあ、結局これは主催の一人の日記みたいなものでしょうね」 「うーむ、だがそこに書かれているタツオという父親はこんな殺し合いをやりそうな人間には見えなかったのだが」 「完全な創作かもしれませんよ、まあ僕には異世界の日常がどんなものかは分かりませんが」 「異世界? そういえばなんだか少し昔っぽい描写だったのう」 「いえ、そうではなくって実は――」 首を傾げるスグルさんに自分がニッポンと言う世界とは違う世界の人間だと説明をしかけて中断する。 ……ぁぁぁぁぁぁ…… 何故なら、遠くから叫び声が響いてきたからだ。 「――おや、誰かいるみたいですね」 「な、何を暢気な事をいっとる! あれは悲鳴じゃないか!」 そういってスグルさんは一目散に駆け出してしまう。 「そっちは学校と反対方向ですよー」 そう告げるもスグルさんは聞いちゃいない様子だった。 やれやれ、と肩をすくめてゼロスもそちらへと足を向ける。 (彼にはそう簡単に死んでもらうわけにはいきませんしね……不本意ですが) 魔族としては実に複雑な心境だが、先ほどの神聖な力といい彼への評価はかなりあがっていた。 故にゼロスは声の方向へと駆け出す。 魔族としては皮肉以外のなんでもないが、強力なセイギノミカタを助ける為に。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「あー、ばっちいもんに触っちまったぜ」 痛みで思わず目を開ける。 と。 目の前で目つきの悪い少年が何かを喋っている。 だが今のシンジにはその言葉を理解する余裕がない。 なぜなら――痛いのだ。 恐ろしいような痛みがシンジの身体を貫いていた。 涙を流しながら痛みの原因を探し、視線を下に動かす。 原因はすぐに分かった、下半身のアレが チンの根元がワイヤーで縛られ、その下に重石がくくり付けられていたのだ。 「な、なんだよこれ! やめろ、やめてよ!」 必死に身体を揺すってあがきながらそれを見ると、ワイヤーの下にあるのはシンジの穿いていたズボンだった。 ワイヤーに吊るされているズボンの上には大量の石が詰められている。 このままでは、その重さに耐え切れずにチンが千切れる。理屈じゃなく本能でそれが分かった。 「ひっひっひ、さあっていつまで持つかな~」 ミシミシとチンが悲鳴をあげる。このままではシンジではなくシン子になってしまう。 そんな事を考えて更に悲鳴をあげる。 「あああ、うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 恐怖と痛みで必死にもがくが拘束はまったくとけない。 チンを襲う激痛に悲鳴をあげても、目の前の少年は笑ったままだ。 「さあて。そろそろ会話する気になったか?」 「ううう……か、会話って何のことだよ……なんで、なんでこんな事を……」 「お、話が通じるようになったか? お前がこっちの質問に答えるって言うなら止めてやるけど、どうする?」 そう言いながら少年は更にズボンの上に石を乗せる。 「うああああっ! あああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 酷くなった痛みに叫ぶ。叫びながら気付く。 目の前の少年にとってシンジのチンの運命などどうでもいいと言う事に。 千切れても構わないとその目が語っている事に。嫌でも気付いてしまった。 「……こ、答える! 知ってることは全部話すよ! だから、だからやめてよ! このままじゃ千切れる!」 チンが千切れるという恐怖とその痛みにシンジは思わずそう叫ぶ。 頭を潰される恐怖より怖い物なんてない――そう思っていた。 だが違った。 この恐怖は悪魔将軍に植えつけられた恐怖に匹敵していた。 次元は違うが同じぐらい恐ろしい事だった。 「よーし、じゃあ話してもらおうか。まずは出会った人間からだ」 少年はにやりと笑ってそう言うと石を退けてくれた。 ただし、半分だけ。 「な、なんで半分……?」 「ああ、話が終わったら残りの半分もどけてやるよ。でも早く話さないと千切れちゃうよ?」 「わ、わかった、話すよ」 そうしてシンジは全部をぶちまけた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 恐怖で正気を失いかけていたシンジに砂ぼうずが取った手は単純。 植えつけられた恐怖を越える恐怖を与える。 ただそれだけだった。 実際、砂漠の妖怪がシンジに与えた恐怖は悪魔に頭を握りつぶされるという死の恐怖に勝るとも劣らないものだった。 それは生物として、男としての根本。死と同じく原初の恐怖そのものだったのだ。 それ故、シンジに理性が戻った。 二つの恐怖という大波が打ち消しあったおかげで一時的に精神の均衡が戻ったのだ。 結果的に砂ぼうずの断チンの刑はシンジの心に平静を与えた。 それも計算のうちなのかは判らないが、げに恐ろしきは砂漠の妖怪。 そして断チンの刑。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「みくるさんごめんなさい。僕が……僕が間違ってたんだ。僕が卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫で……」 シンジはぶつぶつとこちらが聞いていない懺悔まで始めていた。 それを聞きながらその横で灌太は考え込んでいた。 (どうすっかなー) 考えている事はこのガキ、碇シンジをどうするかという一点だけだった。 一応、一通りの経緯は聞き終えたがこのガキが持っていた情報はこちらの予想以上だった。 ノーヴェらしき女の情報や夏子や雨蜘蛛の動き、悪魔将軍という蛇野郎みたいな化け物の情報まで実に有益な情報に溢れている。 更にだ。 このガキはまだ詳しく聞いていないがA.T.フィールドやLCLの知識まで持っているらしい。 それ故、灌太は悩んでいた。 (こいつ、知識だけは役にたちそうなんだよなー) 首輪を外すために必要な知識をシンジは持っている。そう判断する。 だが問題は。 (解放したらこいつ、暴れだしそうなんだよねー) はっきりいってこんな錯乱しているっぽいうえ足手まといな奴を連れて歩きたくはない。自殺行為だ。 今は断チンの恐怖で辛うじて会話が出来るが、落ち着いたらまた最初のように錯乱しかねない。 目の前のガキはそれほど精神が弱い。致命的なほど。少し話しただけでもそれがわかった。 関東大砂漠じゃあっという間に死ぬタイプだから、やはりこいつも異世界って所の人間なんだろう。 とはいえ、殺すには惜しい。 情報は力だ。この殺し合いを脱出するにはこいつの知識が必要になるかも知れない。 (宥めすかして連れて行くか、あるいは殺すか、それともこのまま木に縛り付けているか、むむむ……) などという事を長々と考え込んでいたのだ。 だが長いようで短い灌太の苦悩は強制的に中断された。 がさがさ。 と。 音が響く。 それは木々をかき分ける音。誰かがこちらへと近づいてくる音だった。 (チッ……悲鳴を聞きつけられたか) あれだけシンジが叫んだのだ。 近くに人が居ればこうなる事は予想できていた。 とはいえ予想していても打てる手は限られている。 すなわち、戦うか、逃げるか、あるいは交渉かだ。 (蛇野郎や話に出た悪魔将軍みたいな化け物だった場合は逃げるしかないな、こりゃ) 戦うには火力が絶望的に足りない。よってこちらが取れる手は恐らく交渉か逃走。 灌太は即座にシンジから少し離れた木の影に身を潜める。 交渉できない相手だった場合はこのまま逃走するつもりだった。 シンジが持つA.T.フィールドやLCLの知識は惜しいが、命とは比べられない。 近づいてきた奴が殺し合いに乗っていた場合は、そいつがシンジと言う囮に喰らい付いてる間に逃げる。 そう決めて、右手に手榴弾を握ったまま灌太は冷徹に事態を窺った。 「おや、これはこれは」 「ゲ、ゲェーーーッ!! な、なんて恐ろしい事をーーーーっ!?」 そして彼らは出会った。 【E-4 森林地帯/一日目・夕方】 【キン肉スグル@キン肉マン】 【状態】脇腹に小程度の傷(処置済み) 【持ち物】ディパック(支給品一式)×4、タリスマン@スレイヤーズREVOLUTION、 ホリィの短剣@モンスターファーム~円盤石の秘密~、金属バット@現実、100円玉@現実、不明支給品0~1 【思考】 0:な、なんて恐ろしい事をーーーっ! 1:ゼロスと協力する。 2:学校へ行って朝倉とヴィヴィオと合流する。 3:ウォーズマンと再会したい 4:キン肉万太郎を探し出してとっちめる。 5:一般人を守り、悪魔将軍を倒す。 【ゼロス@スレイヤーズREVOLUTION】 【状態】絶好調 【持ち物】デイパック(支給品一式(地図一枚紛失))×2、不明支給品1~4 草壁タツオの原稿@となりのトトロ、First Good-Byeの楽譜@涼宮ハルヒの憂鬱 【思考】 0:首輪を手に入れ解析するとともに、解除に役立つ人材を探す 1:いやあ面白い事をやってますね。 2:朝倉と合流する。可能ならヴィヴィオとも。 3:ゲンキとヴィヴィオとスグルの力に興味。 4:ヴィヴィオの力の詳細を知りたい。 5:セイギノミカタを増やす。 【備考】 ※簡単な漢字を少しずつ覚えていっています ※ウォーズマンの名前と容姿を覚えました。 ※草壁タツオの原稿の内容は草壁家とトトロの交流が書かれている『となりのトトロ』という作品でした。 【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず】 【状態】ダメージ(中) 【持ち物】オカリナ@となりのトトロ、手榴弾×1、朝倉涼子・草壁メイ・ギュオーの髪の毛 ディパック×2、基本セット×4、レストランの飲食物いろいろ、手書きの契約書、フェイトの首輪、 ksknetキーワード入りCD、輸血パック@現実×3、護身用トウガラシスプレー@現実 【思考】 0、どう対処するか決める。 1、何がなんでも生き残る。脱出・優勝と方法は問わない。 2、首輪を外すにはA.T.フィールドとLCLが鍵と推測。主催者に抗うなら、その情報を優先して手に入れたい。 3、遊園地が怪しいので一応行ってみるが、長居はしない。『パソコン』があると良いな。 4、支給品『CD』を『パソコン』に入れれば、『ksknet』のキーワードを知れば、『ksknet』で『何か』が得られる? 5、その後は北の市街地に向かい、ボインちゃんを雨蜘蛛から守る。一応ホテルには向かう。 6、ノーヴェを探す。そして……いっひっひっひ。 7、蛇野郎(ナーガ)は準備を万全にしてから絶対に殺す。 8、首輪を分析したい。また、分析できる協力者が欲しい。 9、関東大砂漠に帰る場合は、小泉太湖と川口夏子の口封じ。あと雨蜘蛛も? 【備考】 ※セインから次元世界のことを聞きましたが、あまり理解していません。 ※フェイトの首輪の内側に、小さなヒビが入っているのを発見しました。(ヒビの原因はフェイトと悪魔将軍の戦闘←灌太は知りません) ※分解したワイヤーウィンチはシンジを縛るのに使っています。 ※シンジの地図の裏面には「18時にB-06の公民館で待ち合わせ、無理の場合B-07のデパートへ」と走り書きされています。 【碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン】 【状態】ワイヤーでの拘束。疲労(極大)、左肘に銃創 【持ち物】分解したワイヤーウィンチ@砂ぼうず 【思考】 1、僕が悪いんだ、僕が……痛い、痛いよ……誰か……このまま千切れちゃうのかな…… 2、全てから逃げて、どこか安全な場所を見つけて、そこでじっとしていたい。 4、超人、特に悪魔将軍が怖くてたまらない。それと同じぐらい砂ぼうずも怖い。 5、優勝したらカヲル君が――――? 【備考】 ※自分がどこにいるのかわかっていません。 ※第二回放送の内容を把握してません。 ※下半身まるだしです。ちなみにこのまま長時間放置されたら千切れます。 時系列順で読む Back 砂漠妖怪カンタ Sand Destiny Next Scars of the War(前編) 投下順で読む Back そして私にできるコト Next Scars of the War(前編) そして私にできるコト ゼロス saturated with fear キン肉スグル 砂漠妖怪カンタ Sand Destiny 水野灌太(砂ぼうず) 碇シンジ
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山岡氏を野党が追及 マルチ業者の08年集会であいさつ 2011年11月14日 asahi.com http //www.asahi.com/politics/update/1114/TKY201111140435.html 山岡賢次消費者相は14日の参院消費者問題特別委員会で、マルチ商法業者の2008年の集会で参加者に「ぜひ頑張って」とあいさつし、「何も派遣社員をやっていくことはない」などと勧めたことを認めた。質問した自民党の渡辺猛之氏は「大臣の資格がない」と指摘。同党は今国会で参院への消費者相問責決議案の提出も検討している。 以上抜粋。
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平成21年1月1日より運用される新国籍法、昨年12月5日、参議院にて可決された本改正の、 与野党で合意された付帯決議(附帯決議)に関しておさらいしましょう。 まず、以下は付帯決議の内容です。 国籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 日本国民から認知された外国人の子が届出により我が国の国籍を取得することができることとなる ことにかんがみ、国外に居住している者に対しても、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。 二 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われるおそれがあることを踏まえ、国籍取得の 届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、その認知が真正なものであることを十分に確認するため、 調査の方法を通達で定めること等により出入国記録の調査を行う等万全な措置を講ずるよう努めるとともに、 本法の施行後の状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について 検討すること。 三 ブローカー等が介在し組織的に虚偽の認知の届出を行うことによって日本国籍を取得する事案が発生する おそれがあることを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努める とともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。 四 本改正により重国籍者が増加することにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、 我が国における在り方について検討を行うこと。 ※新国籍法の附帯決議に関して推敲を深めるために以下の情報を添付しておきます。 各自検証にお役立てください。 1、附帯決議(ふたいけつぎ)とは? 附帯決議(ふたいけつぎ)とは、国会の衆議院及び参議院の委員会が法律案を可決する際に、当該委員会の 意思を表明するものとして行う決議のこと。 また、地方議会においても委員会で議案を可決する際に、同じく附帯決議がなされることがある。 2、附帯決議(ふたいけつぎ)の意義とは? 国会の委員会における附帯決議の場合、その法律の運用や、将来の立法によるその法律の改善についての 希望などを表明するものである。法律的な拘束力を有するものではないが、 政府はこれを尊重することが求められる。 3、、附帯決議(ふたいけつぎ)の内容とは? その内容は委員会での審議を踏まえたものとなるため、原則として審議中に議論されなかった事項に関しては 決議されることはない。 附帯決議は委員会毎に行われるので、同一の法案に対するものであっても、 衆議院と参議院のそれぞれの委員会でその内容が異なることが多い。 本案とは別個に議決され、本会議にも報告される。また慣例として、全会一致で決議される。 報道では「付帯決議」と平易化して表記される例が多いが、国会会議録に掲載される原本では 「附」の文字を用いる。 上記1、2、3、引用元→http //ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%84%E5%B8%AF%E6%B1%BA%E8%AD%B0 4、附帯決議(ふたいけつぎ)の歴史と本質(ある議員の回顧録より) 自民党政権下において、平成5年(1993年)の通常国会では、提出法案76本のうち、72本が成立した。 とおらなかった4本のうち、大きなものは、環境基本法と自衛隊法の改正法案。 平成4年(1992年)は、提出法案84本で、80本が成立。 平成3年(1991年)は、93本出して、83本の成立を見ている。 この提出法案数に対する成立数の割合を、高いと見るか低いと見るかは議論の分かれるところだろう。 しかし、問題は成立率ではなく、その中身である。 自民党には部会制度があって、火曜日から金曜日まで、約20の部会で朝の8時から法律作成のための 議論が行われている。一つの法律案を作るにも、三年も四年もかけて勉強を重ね、あらゆる角度から検討し、 質疑応答を繰り返しているのである。ここまでしている政党は、ほかにはない。日本では自民党だけである。 こうして部会でつくられた法律案が、政務調査会、総務会、党三役などの議を経て、その間にも修正されたり、 検討のやり直しをさせられたりし、最終的に総裁がOKしてはじめて提出法案となるのである。 これまで自民党が提出してきた、年間90本なり百本の法律案はみな、こうした地道な積み重ねから出てきた ものなのだ。 こういうことが、意外と一般には知られていない。自民党と言えば、いつでも派閥抗争ばかりしている党のように 思われている。それは、そういうことを世間に対して積極的に知らせてこなかったからだ。 社会党をはじめとする当時の野党は、予算案には反対だが、法案だけはとおす。 ただ、その場合、反対の立場から付帯条件をつける。 法案というのは、賛成の立場から付帯条件をつけるのはいいが、反対の立場から付帯条件をつけるというのは、 結局"足して二で割る"政策になるということだ。 だいたい、国会の委員会における審議は、野党に都合がいいようにできている。時間制限があるから、 社公民共の四つの野党に質問者を割り当てていくと、与党がいくら一党で過半数を占めていても、 質問は一人か二人しか出せなくなる。つまり、時間内に法案を成立させようとすると、与党側の質問を制限せざる を得なくなるのだ。したがって、委員会審議は与党側が一方的に攻撃されるという形で進行する。 しかも、国会審議というのは、法案を通すためには、中身よりもなによりも時間との闘いになってくるため、 結局は野党側が持ち出す付帯条件を容れて、安易な妥協をはかる。 野党側は、法案をとおす見返りに、まず、自分たちもなにかをしたのだという"証拠"を残すために 付帯条件をつけさせ・・・・・・ ※引用、「日本をダメにした九人の政治家」浜田幸一著 5、文案まとめ人の私見 以上のことから考察して、付帯決議なるものに期待はできないということで、付帯決議で薀蓄つけても無駄。 あくまでも国籍法の再改正は、本丸としての本法の改正に照準を合わせましょう。 『城攻めは本丸をめざせ!、二の丸攻め、三の丸攻めは、時間効率が悪い!』ってこってす。ヽ(・∀・) 合計: - 今日: - 昨日: -